私は喫茶店を訪れていた。
英国クラシックのアンティーク調で整えられた空間に淡い色のオレンジ灯が穏やかな気分にさせてくれる。私は、喫茶店のメニュー表を見るのが好きだ。そのお店ならではの書き方やその土地の雰囲気を知ることができるからなのだが、現在、私は、パフェで悩んでいた。
季節は秋、旬の食材の多いこと。ぶどうや栗など、どれも美味しそうで、でもパフェを複数頼むのは、これまでの経験上、私のお腹には収まりそうもない。ならば選ぶしかないのだ。ただ一つのパフェを。
そして私がパフェを食べるとき、一緒に頼むものは決まって珈琲だ。
喫茶店の珈琲にはさまざまな種類が存在する。エスプッレソベースからナッツ系、柑橘系とあるが、この中からパフェとの相性を探し出し、選ぶ必要がある。
こんな時ふと私は思うのだ。人生の選択のようだと。
甘みや苦みでできた人生に、ほんの一瞬の心地よさを生み出してくれるそんな人生の中のまばたきのような時間の選択が今、目の前で行われているのではと。
私は本屋で売り場を作ることがある。
思い浮かべること、心で想うことはいろいろとあるが、私はこの売り場の本が甘み
や苦みでできた人生のお供になればいいなと思う。
喫茶店のメニューは食べなければ分からないワクワクで溢れている。本屋の棚も中を開かねば分からない未知でいっぱいだ。そこで私は、お客様の顔を浮かべ、あの方ならこんな風に、あの方だったらこっちかも等と反応を想像して、想いを込めて売り場全体を、作品の色に、想いの色に染めて飾る。
そんな売り場にはワクワクがいっぱいだ。未知であるだけの本が輝きこちらを見ているように思う。そしてきっと、色とりどりの色に乗せられた心が視線がきっと体を本の前へ連れて行くはず。
何が言いたかったのか。私はきっと喫茶店でパフェと珈琲を頼むように、本屋で本と人生を並べて欲しいのだ。
そしたらきっと、まばたきの間に微笑むことができるから。

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