… … …(記事全文3,320文字)「倍音 音・ことば・身体の文化誌 前編」( 中村明一著・1980円・春秋社)
美空ひばりのカリスマ、小泉純一郎のリーダーシップ。彼らの影響力には「倍音」という、目には見えない音の秘密があった!
風鈴の音を楽しみ、鈴虫の鳴き声を愛でるのは、世界でも日本人だけ。他の国々の人には雑音にしか聞こえていない音をわれわれが感ずることができるのはなぜか。
はたまたモンゴルの「ホーミー」やオーストラリアの「ディジヤリドゥ」、インドの「シタール」からブルガリアの「ブルガリアンヴォイス」まで、人々を魅了する不思議な音の謎を解く。
脳科学の知見からもさまざまな効果・影響が探られている不思議な音「倍音」のすべてを、世界的な尺八奏者がいま明らかにする。お笑い芸人が売れるための鉄則から、古来より伝わる秘伝の呼吸法「密息」までつなぐ画期的身体文化論です。
目次は以下の通り・・・。
はじめに 第三の耳 最後に残された「魔法」
第1章 不思議な現象
第2章 倍音とは何か
第3章 メディアを席巻する倍音
第4章 日本という環境・身体・言語
第5章 日本文化の構造
第6章 超倍音楽器、尺八
第7章 人間にとって音、音楽とは何か
終章 未来の響きに耳を澄ます
あとがき
著者は横山勝也師、多数の虚無僧尺八家に尺八を師事。NHK邦楽技能者育成会卒業。米国バークリー音楽大学にて作曲とジャズ理論を学び、最優等賞で卒業。米国ニューイングランド音楽院大学院修士課程作曲科およびサード・ストリーム科で奨学生として学ぶ。
自ら開発した方法による循環呼吸(吹きながら同時に息を吸い、息継ぎなしに吹き続ける技術)を自在に操る尺八奏者。虚無僧に伝わる尺八古典曲の採集・分析・演奏をライフワークとしつつ、ロック、ジャズ、現代音楽、即興演奏、コラボレイション等に幅広く活躍という方だそうです。
「なぜある人の発する声に魅了されるのか? なぜ言葉で気持ちが伝えられるのか? なぜ心の底から感動する音楽が存在するのか?」
いまだ誰もその問いに対する明確な答えがわからない・・・しかしこれらの背後に「倍音」がある、と気づくとすべての謎は一つにつながっていくのです。
「倍音」・・・それはまさに現代に残された魔法です。
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