… … …(記事全文2,538文字)「名著の予知能力」(秋満吉彦著・1100円・幻冬舎)
「100分de名著」(NHK Eテレ)で取り上げる作品を9年にわたり選び続けてきたプロデューサーが最も戦慄を覚えたのは、現代社会のありようを言い当てる「名著の予知能力」といいます。
カミュ「ペスト」には、新型コロナで苦しむ「今」があった。ル・ボン「群衆心理」は、対立意見で分断を煽るSNS社会を見通したかのようだ。
ミッチェル「風と共に去りぬ」には、トランプ政権へつながる米国の裂け目が見える。
名著との格闘から得られる、驚き、興奮、感動。そして人生を変える力。画期的な「名著」の読み方。
「そうか、私が日々、戦慄をもって名著から感じ取っている力とは予知能力ではなかったか」
新型コロナに置かれた私たちの状況をあたかも映し取っているようなアルベール・カミュの『ベスト』。世界で猛威を奮いつつある全体主義的な政治手法を通列に撃つジョージ・オーウェルの『1984年』。対立意見を先鋭化して人々を分断に追い込むSNS社会の暗部を突くル・ボン『群集心理』・・・数十年から数百年前に書かれた名著が現代社会のありようを予言するかのように当てています。
人間の本質は時代が流れても全く変わっていません。
普遍性を獲得した名著は、繰り返される人間の愚かさや過ち、蛮行、憎悪のうねり、社会の歪みを炙り出してくれるものです。
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