… … …(記事全文1,982文字)「出家とその弟子 前編」(倉田百三著・1289円・岩波書店)
失恋と病、第一高等学校退学などの挫折を経験し、姉2人や祖母の相次ぐ死を受けて執筆された倉田百三の代表作。
学生時代に薫陶を受けた西田幾多郎の哲学や、闘病中に救いをもとめたキリスト教や仏教、さらに一時期身を寄せた一燈園での経験などが投影されている倉田百三による戯曲。親鸞とその弟子唯円を中心に、人間の罪、愛欲などを描く。
1916年から同人誌『生命の川』で連載され、1917年に出版され、1919年(大正8年)にエラン・ヴィタール小劇場によって京都大丸ホールで初演された。
ロマン・ロランは仏語版発刊に寄せて序文を書いています。
「お前の愛する者を絶対にお前の愛で傷つけてはならない」
取り乱した若者の心の耳に響く言葉。唯円のことです。
すでに1915年にノーベル文学賞を受賞、日本でも名高い文学者でした。彼はグレン・ショーの英訳本で読んで感銘し、仏語訳を始めます。
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中島孝志(作家・コンサルタント etc)