… … …(記事全文2,678文字)「山口組のキッシンジャーと呼ばれた男 黒澤明 その激動の生涯」(山平重樹著・2200円・徳間書店)
「世界のクロサワ」と同姓同名。あちらは映画監督。こちらも「世界のクロサワ」ですよ。
フィリピン・ホロ島の反政府イスラム・ゲリラ組織に拉致され、日本政府からも見捨てられた一人の日本人青年を救うため、命を賭け、1年2カ月もの時間を費やした。もとより一銭の得にもならず、売名でもあらず己の本能ともいえる義侠心の命ずるままの行動であったのだが、彼はそんな野暮なことは口にしなかった。では、何のため? 彼はこう答えた。
すべては胸に空いた隙間を埋めるため――
山口組分裂を機に断腸の思いで渡世から足を洗った男はいまだ胸にたぎる情熱、その燃焼先を求めてフィリピンへと渡った。そこで反政府ゲリラによる「日本人カメラマン人質事件」に直面する。かつて対立してきた組織との間に緊張緩和をもたらした手腕から、現役時代は米国の「外交の達人」にたとえられた男は、その交渉能力を捕らわれた青年救出のために発揮していく。だが、警察当局は放っておかなかった。男は世間を震撼させた「グリコ・森永事件」の首謀者とされて厳しい追及を受けることに。さらに、縁があった大山倍達の遺言の立会証人となったことから、皮肉にも極真空手の分裂に巻き込まれていく――。引退後も波瀾万丈な運命をたどったアウトロー、黒澤明の生涯を丹念に追ったノンフィクションノベル!・・・とのことです。
さすがに読ませますね。面白い。丁寧で深い取材がよくわかります。
それにしても、著者は黒澤さんに心酔してますね。けど、それが贔屓の引き倒しになせないところが、黒澤という人物がホンモノだという証拠。
黒澤さんがフィリピンのモロ民族解放戦線に1年2カ月にわたって囚われた日本人カメラマン救出に奔走。盟友野村秋介さんの協力を得て見事に解決・・・昭和61年3月、それまでの極道渡世を引退した翌々年。
ほぼ毎日配信!年3000冊読破の読書王・中島孝志の読む!見る!通勤快読宅配便
中島孝志(作家・コンサルタント etc)