… … …(記事全文3,237文字)「道化師の楽屋」(なかにし礼著・743円・新潮社)
石原裕次郎・慎太郎、美空ひばり、黒柳徹子らとの交友など、作家・なかにし礼が自らの「舞台裏」を明かした傑作エッセイ集です。
世の中には「この人間を地上界におくれ!」と神々が相談し合った結果、どうもこの世におくられてきた人物がいます。
使命というか天命を叶えるまでは死なない。千載一遇ともいうべきチャンスというか人との出逢い運もモノにしてしまう。奇蹟が奇蹟を生む好循環・・・。どうもそういう「エリート」がいるように感じられてなりません。
エリートすなわち「選ばれた人」。いいことばかりではありません。どちらかというとものすごい辛いことばかり。波乱万丈。でも、神々は彼らをこの世につかわされた。
それもありとあらゆる分野で選ばれた人たち。
たとえば芸能界ならば、黒柳徹子さん、石原裕次郎さんとかね。なかにし礼さんもその一人だと思います。
「いま、日本ではね。敗戦の悲しみを忘れて、みな頑張ってるんだよ。この歌を歌いながら焼け跡から立ち上がってるんだよ」
引き揚げ船の船員さんはそう言ったといいます。
その歌とは「リンゴの唄」。大好きな大好きなサトウハチローの詩です。その後、フォーク・クルセダースが歌った「♪悲しくてやりきれない」も彼の詩です。なんと切ない詩です。口ずさむと自然に涙が流れてしまいます。
日本へ帰ってきた。 これほどの憧れを抱いて日本へ帰ってきた著者に対して「リンゴの唄」はあまりにつれなかった、といいます。
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中島孝志(作家・コンサルタント etc)