… … …(記事全文2,943文字)「続 窓ぎわのトットちゃん 後編」(黒柳徹子著・1650円・講談社)
トットちゃんはなるべくしてなった人。選ばれし人。守護霊に導かれた人・・・としか思えないのです。
とくに痛感するのは人との出逢い運です。とんとん拍子にことが運ぶように会うべき人に会っています。
そういうと、なんの才能も努力もしない「成金」「なりあがり」のように感じられるかもしれませんが、どうしてもそれだけ運が強いように思えてなりません。
かつて芥川龍之介は、運命とは遺伝子、環境そして偶然と述べています。遺伝子とは才能とか素質だと思います。環境は家庭環境とか民族性とか地域社会だとか家柄とか、そして偶然とは人との出逢い、遭遇、タイミングのことですよね。
ああ、このとき、この人と会ったから人生の方向が決まってしまった、ということが少なくないと思います。
トットちゃんを傍観すると、このタイミングとか偶然性、いってみれば「セレンディピティ」の強さを感じられてならないのです。芥川は別に、「あらゆる出来事はその人の性格が引寄せている」とも語っています。
まさに御意、という気持ちです。
戦前、北海道にあるママの実家に遊びに行ったときのこと。ママにしてみれば初めての里帰り。青森から上野に向かう中、汽車から外の景色を眺めていると、突然、目の前にリンゴ畑・・・。
「リンゴだリンゴだ」とトットちゃんだけじゃなくママも一緒になって声を上げた。
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中島孝志(作家・コンサルタント etc)