… … …(記事全文2,976文字)「マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界」(川畑智・遠藤英俊・浅田アーサー著・1595円・文響社)
日本の認知症の患者数は増加の一途をたどって、数年後には「誰しも認知症の人と接する社会」が訪れます。
認知症の人とのコミュニケーション法はいまや誰にも必要な知識です。
しかし、「何度も同じことをいう」「家族の顔がわからなくなる」「財布を盗んだといわれる」「理由もなく歩きまわる」など、家庭介護の場面では認知症の人の不可解な言動にイライラしたり、疲弊したりすることが少なくありません。
認知症ケアの現場で数多くの認知症の人と接してきた著者の豊富な知見をもとに、不可解な行動の裏にある心理をマンガ形式で紹介。その言動の理由がわかれば、認知症の人が愛おしくなり、介護がらくになる・・・とのことです。
高齢社会の進展とともに、わが国の認知症患者は右肩上がりに増加しています。
厚労省によりますと、2025年には700万人。60歳以上の5人に1人が認知症。2050年には1000万人超だとか。
ますます身近なものになっていく、というより、明日はわが身。これはいまのうちに知っておかなければならないのでは?
さっき食べたばかりなのに、ご飯はまだか。真夏なのにコートを重ね着。真冬に冷房、真夏に暖房。些細なことで突然怒り出す。家にいるのに自宅に帰る、という。
不可解な言動ばかり。大切な家族だからこそ情けなくなったり、イライラしたり、途方にくれたりしまうのは無理もありません。
しかし認知症の人は理由もなく不可解な行動や言動を取るのではありません。むしろ、懸命に考えているのだとか。心の内が見えれば、不可解に見える言動にも理由と意味があるとわかります。理由がわかれば心理的負担も軽減され、こういうことなのかと理解できます。
認知症の人の目に映る世界と、認知症でない人たちが見ている世界には「ずれ」があるそうです。
たとえば80代90代の認知症の人に年齢を聞くと、40代あるいはもっと若く答えるケースが少なくありません。どういうこと? 今いる場所、時間の把握が苦手になる「見当識障害」のせいで正確な年齢がわからなくなってしまうのです。
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中島孝志(作家・コンサルタント etc)