… … …(記事全文1,987文字)『本質』を辞書で引くと、
「もっとも大事な根本の性質、要素」
と書いてある。本質の使われ方は様々だが、だいたい、こんな感じだ。
「ある人が生まれ持った本質」という言い方も多い。
生まれつき奇妙に優しい人は認知症にならないかぎり、死ぬまで優しい。
認知症になっても、怒りっぽくならない場合もある。
私の息子は、まだ言葉がぎこちない頃から、礼儀正しくて、それを誰が教えたのか分からない。
レストランで食事を終えると、「ごちそうさまでした」の「でした」だけを店員に言って回っていた。
小中学校になっても変わらず、二十歳の今も変化なし。いまだに、誰がそんな教育をしたのか不明だから本質か才能と言える。
私の場合は悪い本質に、『破滅願望』がある。
自殺しようとしたりではなく、人間関係で。
例えば、大事な女性とあっさりと縁を切ってしまうところがあり、女子に消極的だから、
「どうでもいい」とか「彼女から来なければ縁がなかった」とか思って生きてきた。
「あっさり」と書いたが、わりと短気ではなく相手が暴力的じゃないかぎりは、本気で怒ることも滅多にない。
先日、アート展『きりあと』に在廊してくれた浅川ちひろさんが、
「里中さんに怒られた事がない」
とお客さんたちの前で言っていたが、けっこう怒ってる(笑)
たぶん、怒っているといっても、注意している程度なのだと思う。
誰にも相談できない恋愛とセックスの話
里中李生(作家)