… … …(記事全文3,114文字)「通天閣さん 僕とママの、47年 後編」(高山トモヒロ著・1540円・ワニブックス)
40代後半の男がいまだに自分の母のことをママと呼んでいる。
「幼かったあの頃、僕たち4人の兄弟は母をママと呼んでいた。パパと呼んでいた父のことは、ともに過ごした時間の中でお父さんへと変化した。けど、母はママとしてずっとずっとあの頃のままだ・・・」
家業のウエス工場とは別に、喫茶店とマージャン店をママが経営することになった。家族を支えるだけじゃなく、商売をして自力でお金を稼ぎたい。日本橋の黒門市場の外れ、1階が喫茶店、2階がマージャン店、3階が仮眠部屋。ビル一棟、相当な家賃になります。
自動販売機すら珍しかった時代、店は大当たり。喫茶店も界隈から注文がひっきりなし。
商売が繁盛するほど、父も祖母も以前のように頭ごなしに否定しなくなり、パワーバランスはますます変わっていった。
垢抜けたワンピースを着た30代半ばのママ。綺麗でかっこいいが、今までそばにいてくれた、工場の匂いのする母親とは別人。


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