… … …(記事全文3,061文字)「音楽は自由にする 前編」(坂本龍一著・1100円・新潮社)
ちょうど一周忌すぎたばかりですね。こういう本に邂逅する。これこそ読書の醍醐味ではないか、と嬉しくなります。
買った本すべてが大当たりというわけではありません。やはり、小当たり、中当たりもありますし、中には空振りもたくさんあります。それはその時の私に問題意識が薄かったからで、本自体には大中小なんてありません。
そういう意味で、大当たりでしたね。ワクワクドキドキします。
坂本龍一が語る坂本龍一。それが本書です。
「あまり気が進まないけど……」と前置きしつつ、日本が誇る世界的音楽家は静かに語り始めた――伝説的編集者である厳格な父。ピアノとの出合い。幼稚園での初作曲。学生運動に明け暮れた高校時代。伝説的バンドYMOの成功と狂騒。たった一人の「アンチ・YMO」。『ラストエンペラー』での栄誉。同時多発テロの衝撃。そして辿りついた新しい音楽――。
華やかさと裏腹の激動の半生。いつもそこに響いていた音楽への想いを、自らの言葉で克明に語った決定的自伝・・・日経の「私の履歴書」じゃないんですけど、そういうコンテンツですね。。
『音楽ライターが、書けなかった話』で、へえ、坂本龍一って面白いね、と感心したので、ご自身の著作を読んでみようとなりました。
正解。読書というのは、本から本への核分裂が醍醐味ですね。
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中島孝志(作家・コンサルタント etc)