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稲葉義泰のミリタリーレポート ─軍事と法から世界を見る─

稲葉義泰(国際法・防衛法制研究家/軍事ライター)

稲葉義泰

北朝鮮のロケット打ち上げが国際法上違法な理由(後編)

ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00255/20230530212236109697 //////////////////////////////////////////////////////////////// 稲葉義泰のミリタリーレポート ー軍事と法から世界を見るー https://foomii.com/00255 //////////////////////////////////////////////////////////////// 北朝鮮のロケット打ち上げが国際法上違法な理由(後編) ●北朝鮮の弾道ミサイル発射を禁じる安保理決議  前編でも確認した通り、国連安保理決議における決定は、国連加盟国を法的に拘束します。そして、北朝鮮に関して言えば、弾道ミサイルの発射を禁じることを決定する国連安保理決議が出ているので、これが法的に禁止されているという理屈です。  なぜ、国連安保理において北朝鮮の弾道ミサイル発射が禁じられているのかというと、まず、北朝鮮の弾道ミサイルは核兵器を含む大量破壊兵器の運搬手段として開発が進められています。そして、これら大量破壊兵器のみならず、その運搬手段である弾道ミサイルの拡散は、国際社会にとって重大な脅威です。北朝鮮は、1990年代から長射程の弾道ミサイル発射実験を本格化させ、さらに2000年代に入ってからは核実験まで実施しています。こうした動きに対して、韓国や日本といった周辺諸国をはじめ、国際社会はこれを地域内外の緊張を高める行為とし、累次の国連安保理決議においてはこれを国際社会の平和及び安全に対する脅威と認定しているわけです。  そこで、国連安保理決議では、北朝鮮による弾道ミサイルの発射を禁じているわけですが、注目すべきはここでいう「弾道ミサイル」の範囲です。一般的に、弾道ミサイルとはロケットの先に弾頭を載せ、これを目標地点に向かって楕円軌道により放る兵器というイメージですが、北朝鮮が2009年に人工衛星「光明星2号」を打ち上げるための打ち上げロケット「銀河2号」を打ち上げた際、アメリカや日本をはじめとする各国は、北朝鮮がなんと主張しようとこれは安保理決議に違反する弾道ミサイルの発射にあたると整理しました。というのも、衛星打ち上げロケットと弾道ミサイルとは結局用いる技術は一緒であるためです。そこで、たとえば2013年3月7日に採択された国連安保理決議2094(S/RES/2094)では、次のような文言が挿入されています。 「北朝鮮が、弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射、核実験又はいかなるその他の挑発もこれ以上実施すべきでないことを決定する。」
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