Foomii(フーミー)

稲葉義泰のミリタリーレポート ─軍事と法から世界を見る─

稲葉義泰(国際法・防衛法制研究家/軍事ライター)

稲葉義泰

中東海域で活動する海上自衛隊 その理由と法的根拠(後編)

ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00255/20221130205128102584 //////////////////////////////////////////////////////////////// 稲葉義泰のミリタリーレポート ー軍事と法から世界を見るー https://foomii.com/00255 //////////////////////////////////////////////////////////////// ●民間船舶を助けることはできる?●  それでは、もし実際に中東での情報収集活動中に自衛隊の護衛艦が襲撃されている民間船舶を発見した場合、これを助けることはできるのでしょうか。  まず、この自衛隊派遣に際して、航行中の民間船舶に何らかの侵害行為が発生した場合には、自衛隊法第82条の「海上警備行動」により対応することとされています。この海上警備行動は、本来海上における警察活動を担う海上保安庁では対応出来ないような事態が発生した場合に、海上自衛隊がこれを補完するというもので、その目的は「海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持」とされています。  ここでいう「海上における人命若しくは財産」とは、基本的に日本人の人命もしくは財産を指すとされているため、海上警備行動により保護する対象となる船舶は「日本関係船舶」に限定されています。この日本関係船舶というのは、①日本籍船、②日本人が乗船する外国籍船、③日本の船舶運航事業者が運航する外国籍船、④日本の積荷を輸送している外国籍船であって日本国民の安定的な経済活動にとって重要な船舶を指します。  そして、海上警備行動が発令された際には、現場の護衛艦に武器使用を含む措置をとる権限が与えられますが、ただし、警告射撃や、場合によっては船体への射撃を含む武器使用が可能となるのはあくまでも先述した日本関係船舶の内①の「日本籍船」が襲撃を受けた場合のみであって、その他の②~④に該当する船舶が襲撃を受けた場合は、襲撃をしている船舶に対して護衛艦を接近させる、呼びかけを行う、投光器や音響装置などを使用するといった形で、日本が被る被害に比例する形で武器使用のような実力行使以外の措置で対応できるにとどまります。  これは、国際法上の旗国主義に基づき、公海上の船舶の安全を確保するのは原則的に旗国(その船が掲げている旗の国)の責任とされているためで、2021年(令和2年)3月に当時の河野太郎防衛大臣が次のように答弁しています。
… … …(記事全文2,928文字)
  • バックナンバーを購入すると全文読むことができます。

    購入済みの読者はこちらからログインすると全文表示されます。

    ログインする
  • ひと月分まとめての販売となります。1記事のみの販売は行っていません。

    価格:500円(税込)

    2022年11月分をまとめて購入する

今月発行済みのマガジン

ここ半年のバックナンバー

2024年のバックナンバー

2023年のバックナンバー

2022年のバックナンバー

2021年のバックナンバー

このマガジンを読んでいる人はこんな本をチェックしています

月途中からのご利用について

月途中からサービス利用を開始された場合も、その月に配信されたウェブマガジンのすべての記事を読むことができます。2025年1月19日に利用を開始した場合、2025年1月1日~19日に配信されたウェブマガジンが届きます。

利用開始月(今月/来月)について

利用開始月を選択することができます。「今月」を選択した場合、月の途中でもすぐに利用を開始することができます。「来月」を選択した場合、2025年2月1日から利用を開始することができます。

お支払方法

クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、d払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払いをご利用いただけます。

クレジットカードでの購読の場合、次のカードブランドが利用できます。

VISA Master JCB AMEX

キャリア決済での購読の場合、次のサービスが利用できます。

docomo au softbank

銀行振込での購読の場合、振込先(弊社口座)は以下の銀行になります。

ゆうちょ銀行 楽天銀行

解約について

クレジットカード決済によるご利用の場合、解約申請をされるまで、継続してサービスをご利用いただくことができます。ご利用は月単位となり、解約申請をした月の末日にて解約となります。解約申請は、マイページからお申し込みください。

銀行振込、コンビニ決済等の前払いによるご利用の場合、お申し込みいただいた利用期間の最終日をもって解約となります。利用期間を延長することにより、継続してサービスを利用することができます。

購読する