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稲葉義泰のミリタリーレポート ─軍事と法から世界を見る─

稲葉義泰(国際法・防衛法制研究家/軍事ライター)

稲葉義泰

日本の防衛に関する憲法上の制約(後編)

ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00255/2022063017323996338 //////////////////////////////////////////////////////////////// 稲葉義泰のミリタリーレポート ー軍事と法から世界を見るー https://foomii.com/00255 //////////////////////////////////////////////////////////////// ●国連による集団安全保障措置  原則として、日本は憲法上自衛権の行使以外に武力を行使することが禁じられています。そうなると、問題となるのは国連による集団安全保障の一環としての軍事的措置についてです。  この軍事的措置については、当初国連加盟国との特別協定に基づく「正規の国連軍」による実施が想定されていましたが、現在に至るまでそのような国連軍は編成されたことがありません。そのため、これについて日本政府は憲法上の問題があるとしながらも、その参加の可否については結局国連軍がどのような形で編成されるかがはっきりしなければ判断できないとしています。 「現在の国連憲章第42条、43条に規定されております国連軍につきましては、従前から私どもが申し上げておりますように、憲法9条の解釈、運用の積み重ねから推論いたしますと、我が国がこれに参加することには憲法上の疑義があるというふうに考えているわけでございます。憲法問題でございますから、疑義がある限りは我が国としてこれをやってはいけないわけでございますが、ただ、断定的に結論を述べておらないゆえんのところは、要するにまだ国連軍というのは、このような憲章上の正規の国連軍の話でございますが、いまだ設けられたことがなく、そのための前提となる特別協定もいかなる内容になるか不明であります。  したがって、将来、その編成が現実の問題となり、兵力の提供に関する特別協定の具体的内容が確定したときに初めて確定的な意見が申し上げられるということ、これも従前から申し上げているところであります。(中略)要するに、国連軍への参加というのは、我が国の主権行為が基点になることは間違いございません。  ただ、その上で、その参加をした我が国の組織が国連軍の中でどう位置づけられ、それに対する指揮の形態がどうなるのか、あるいは撤収の要件あるいは手続がどう定められるのかということが、その参加した我が国の組織の行動がなお我が国の武力の行使に当たるかどうかという評価にやはり決定的な影響を及ぼす。したがいまして、特別協定が決まらなければ、そのあたりの確定的な評価ができない、こういうことでございます。」(第142回国会 衆議院 予算委員会 第27号 平成10年3月18日 大森政輔内閣法制局長官答弁)
… … …(記事全文5,578文字)
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