ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00194/2021062823334281862 //////////////////////////////////////////////////////////////// 山岡鉄秀の対外情報戦で勝ち抜けろ! https://foomii.com/00194 //////////////////////////////////////////////////////////////// 先日、ダイレクト出版さんの企画で福山隆元陸将と対談する機会を得ました。元陸上自衛隊のトップの方と膝を詰めて長時間お話できるのは大変光栄なことで、非常に多くを学ばせて頂きました。今回はその中でも、私を含めて日本人の頭からすっぽり抜け落ちている問題について書きたいと思います。 それは、自衛隊という軍隊の位置づけです。憲法の問題だけではありません。ほとんどすべての日本国民は自衛隊の存在を認知していますし、警察よりも信頼されている組織です。その信頼は大規模災害対応や、最近では大規模ワクチン接種などを通じて醸成されましたが、まるで困ったときは自衛隊と言わんがばかりです。私が特に気の毒だと思うのが、豚インフルエンザなどが流行した際の動物の殺処分に自衛隊員が駆り出されることです。こんなに頼りにしている自衛隊が違憲状態であっていいはずがありません。しかし、今回はもう少し具体的な話をしたいと思います。 福山元陸将も韓国を始め海外駐在経験がありますが、その際は外務省出向となります。世界各地に大使館や総領事館がありますが、外務省以外からも様々な省庁から領事として派遣されている方々がいます。防衛省からも派遣されます。昔なら武官と呼ばれていました。しかし今では外務省出向の立場ですから、外務省の組織内で活動しなくてはなりません。その結果、いかなる報告事項があろうとも、まずは外務省に報告し、外務省から防衛省に連絡が行くシステムになっているのです。 すぐに流してくれるのならいいのですが、実際には外務省内で止まってしまったり、防衛省に届くまでに大変な時間がかかってしまったりするそうです。これはフェアではありません。せめて出向者は外務省と防衛省に同時にレポートできるようにすべきでしょう。なぜこんなことになってしまうのでしょうか?それは、戦後の二つの組織の在り方に起因します。 戦後、悪の象徴とされた軍は完全に解体され、事実上消滅しました。一方、外務省は占領軍(GHQ)のエージェントとして拡大しました。マッカーサーの忠実な下僕だった吉田茂は元外交官でした。完全な勝ち組と負け組に分かれたのです。その意味で、外務省は戦後ずっと日本政府よりもアメリカ政府の方を見ながら仕事をして来たと指摘する人もいます。実際、日本に大損害をもたらした河野談話が発表後28年間を経て未だに見直すことも撤回することもできない本当の理由は、アメリカ政府の反発を恐れるからのようです。私から見れば説明すればいいだけのことなのですが、日本の政治家に説明能力がある人がいない以上、外務省が率先してアメリカ政府に河野談話が日韓政府の妥協の産物に過ぎないことを説明する動機はないのです。そんな外務省は外交一元論を主張し、外交は自分たちが独占するという発想があるわけです。 多くの外務官僚と接してきた私の個人的な感想を述べると、もちろん、国益のことを一生懸命考えて頑張っている人もたくさんいます。しかし、どうも上に行けば行くほど、戦後レジームに縛られているような印象を受けます。つまり、組織全体としては占領下で強大化したアメリカ政府のエージェントとしてのカルチャーが残っており、その残滓があちこちに散見されます。… … …(記事全文5,006文字)
山岡鉄秀の対外情報戦で勝ち抜けろ!
山岡鉄秀(情報戦略アナリスト)