□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年3月10日第211号 ■ ============================================================== 司法が暴政を止められることを証明した高浜原発差し止め判決 ============================================================== 大津地裁が下した高浜原発差し止め判決は画期的な判決だ。 司法が原発再稼働を止めた、ということだけではない。 ひょっとしてこの判決が、この国の原発政策を変えることになるかもしれないからだ。 私が注目したのは、原子力規制委員会の安全基準を満たしただけでは不十分だ、としているところだ。 すなわち原子力規制委員会に対してはあたらな規制基準を策定すべき事を求め、関西電力に対しては安全性についての説明が不十分であるとした。 なによりも、福島原発事故の究明が不十分な中で災禍の甚大さに真摯に向き合い、二度と事故を起こさないとの見地から原発再稼働は認められない、と断じたことだ。 これは、政府の原発再稼働政策は容認できない、という立場を司法が示したということだ。 もちろんこれは大津地裁の判決だ。 他の地裁は正反対の判決を下すかもしれない。 上級裁判所は逆転判決を下すかもしれない。 しかし少なくとも高浜原発は止まり、当分は再稼働は出来なくなった。 そしてこの大津判決で述べられた判断を覆す判決は容易ではない。 なぜならば、あの福島事故の被害の甚大さと引き換かえに原発再稼働をすべきではない、という国民の声に、自信を持って反論することは、まともな裁判官なら困難だからだ。 ひょっとしたら、この大津判決は日本の原発政策を変える事になるかもしれない。 司法が暴政を止めることになるかもしれない。 やはり福島原発事故の持つ意味はそれだけ大きいということだ。 それと好対照なのは砂川判決の棄却だ。 法理理論的には、これほどの不当判決はない。 しかしこの場合は、司法が暴政を止める事はなかった。 福島原発事故のような目に見える絶対的な事件が起きていないからだ。 司法の論理だけで暴政を止める事がいかに難しいか、である。 司法が司法の論理で暴政を止める。 そういう時がくるまで司法は暴政と戦い続けてもらいたいと願うばかりである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)