□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年2月14日134号 ■ ============================================================== 安倍首相の中東問題に関する認識はその程度なのか ============================================================== 安倍首相は10日に放映された自民党のインターネット番組で、北朝鮮が拉致被害者らの再調査を約束した2014年5月の「ストックホルム合意」を「オスロ合意」と言い間違えたらしい。 私は自民党が安倍政権の広報番組をインターネットで流している事を知らなかったので、この事をきのう2月13日の日経新聞「記者手帳」と言うコラムで知った。 そして、そのコラムで、有田芳生民主党議員がツイッターで「拉致被害者のためいきが聞こえてくる。その程度の認識なのか」と批判した事を知った。 いずれもインターネット上のやり取りだ。 知らない国民が多いだろう。 それでよかった。 こんなやり取りが世界に知られると日本の恥だからだ。 きょう2月14日の日経新聞は、そのコラム「記者手帳」で、この安倍首相の言い間違いの理由を政府関係者はこう説明した、と書いている。 「パレスチナのアッバス議長との会談の話が頭にあって、言い間違えたのではないか」と。 すなわち、14日から来日するアッバス議長と安倍首相は15日に会談する事になっているが、その勉強会で、斎木外務事務次官ら外務官僚から教わった事が頭に残っていたというわけだ。 そして「記者手帳」はこう締めくくっている。 「拉致問題の解決は安倍政権の最重要課題だけに、首相にとっては手痛いミスになった」と。 有田議員も日経新聞も、オスロ合意に失礼だ。 ストックホルム合意は、そもそも日本と北朝鮮の二カ国だけの合意だ。 しかも外交担当者たちが結託してでっちあげたごまかし合意だ。 一方のオスロ合意は、戦後の最大の国際紛争であるパレスチナ和平をめぐる合意で、それが調印された1993年は、中東和平が実現するかもしれないと世界が期待した合意だ。 中東問題を語る時、知らない者は誰もいない。 いまとなっては形骸化したが、それでも中東和平はその精神を引き継いで模索するしかないほどの重要な合意だ。 有田議員や日経新聞は、拉致問題への言及とともに、次のようにつけ加えるべきだった。 アッバス議長と首脳会談する安倍首相の中東問題に関する認識は、「その程度の認識なのか」と(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)