□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年2月15日135号 ■ ============================================================== 鴻海のシャープ買収を安倍政権は許すのか ============================================================== 鴻海のシャープ買収合意が正式に決まるのは2月末であるが、その後どのような話し合いが行われているのか、まったく報道がない。 関係者の間で壮絶な綱引きが水面下で繰り返されているに違いない。 ここでいう関係者とは、鴻海とシャープの事だけではない。 むしろ私の関心は安倍政権と経済産業官僚がシャープにどう働きかけているか、に関心がある。 親方日の丸に逆らえないシャープが産業革新機構の救済案を受け入れるのは当然と思われていた。 それを覆すに十分な鴻海の提案にシャープ社長が応じたのは、元官僚の私にとっては驚きだった。 面子を潰された安倍政権や官僚がこのまま引き下がるはずがない。 猛烈な巻き返しが水面下でなされている事は容易に想像できる。 経済的なあらたなオファー持ち掛けることは十分に考えられる。 しかし、それ以上にあり得るのは、ナショナリズムの国民感情に訴えて圧力をかけることだ。 もし鴻海が中国企業であったならとっくに潰していただろう。 反中国の国民感情に訴えて、シャープ社長を、それでいいのか、と脅せばいいだけだ。 しかし安倍首相のお友達の台湾の企業だからそうは言えない。 そう思っていたら鴻海グループ会長(テリー・ゴウ)の個人攻撃が始まった。 独裁者だ、いまは甘い事を言っているが買収合意後はシャープに厳しく出る、などというものは、まだ可愛い方だ。 安倍政権の最後の切り札は中国脅威論だ。 今日発売の週刊プレーボーイ(2月29日号)が書いた。 「シャープ復活は官民一体の日本経済再生の広告塔だ!」と息巻いていた甘利大臣の辞任を見て、すかさずシャープ買収の巻き返しに出た鴻海会長の後ろには、中国の影がちらつく、などと言い出した。 きわめつけは、2月11日の毎日新聞の記事だ。 中国嫌いの金子秀敏客員編集委員が「木語」で書いている。 あの尖閣を買いたいと言って、騒ぎを起こした張本人こそ、鴻海グループ会長だったと。 台湾生まれだが馬総統と同じ大陸出身の「外省系」家系であると。 こうして世論は中国脅威論に導かれていくのだ。 果たしてシャープ社長は中国脅威論の圧力を克服して鴻海グループの買収提案に最終合意できるだろうか。 もちろん私はシャープが鴻海グループに買収されるほうが望ましいと思っている。 シャープやその従業員のためにも。 そして日本の国際化のためにも。 何よりも、なんでも思い通りにできるとうぬぼれている安倍政権や官僚たちをこれ以上増長させないためにも、である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)