□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年1月30日第91号 ■ ============================================================== 「戦争」の前に「経済」でつぶれる安倍首相の日本 ============================================================== きょう1月30日の新聞は永久保存版にしておく価値がある。 後で振り返った時、あの時が日本滅亡の日だったのか、と思い出させてくれるものになるかもしれないからだ。 「戦争が起きる事を心配する前に、経済政策の失敗をおそれよ。我々は政府によって戦争で殺される前に、生活苦で殺される」 これは、私が戦争と平和の議論をするときに、改憲論者を前にして反論する時に使うセリフだ。 その正しさを、見事にきょうの各紙が報じている。 日銀が初のマイナス金利導入を決めた。 専門家がそれをどのように評価しようとも、この黒田日銀の決定が、破綻したアベノミクスをゾンビのようによみがえさせるための無理筋であることは明らかだ。 その副作用が最悪の形で現れた時、日本経済はいよいよ危機に陥る。 多くの国民が犠牲になる。 その一方で、きょうの各紙が一面で大きく取り上げた記事が、北朝鮮の弾道ミサイルが発射された時に備えて下された「ミサイル破壊措置命令」である。 もし北朝鮮が日本に向かって核弾頭を搭載したミサイルを発射すれば、日本は何があっても事前にこれを迎撃しなければいけない。それは当然だ。 しかし、どんなにうまく防戦したところで、現実にミサイル戦争が起きれば日本もまた壊滅的犠牲を覚悟しなければいけない。 おびただしい数の犠牲者がでるだろう。 戦争によって命を奪われる可能性と、生活苦で殺される可能性と、どちらが大きいか。 もちろん後者である。 北朝鮮が日本にミサイルを発射する可能性は、米国が北朝鮮に軍事攻撃を仕掛けない限り、限りなく小さい。 北朝鮮の方から核攻撃して来る可能性は、ほぼゼロだ。 しかし生活苦による死はすでに確実に増加している。 そして、戦争であれ、日本経済破たんであれ、いずれの場合でも、まっさきに犠牲になるのは絶対的弱者の一般国民である。 どっちに転んでも、支配者と言う名の強者は責任をとらずに逃げ、国民と言う名の弱者を犠牲にして生きのびる。 それが格差社会というものだ。 小泉政権から始まった格差社会は、いま安倍政権によって当たり前のように定着し、人間性が否定されるまでにその格差が拡がっている。 国民がすっかり分断されようとしている。 ご丁寧に、きょうの各紙の一面を飾る三番目の大きなニュースは、原発事故後三番目となる高浜原発の再稼働だ。 原発再稼働もまた、いつのまにか、すっかり当たり前のようになってしまった。 北朝鮮に対する不必要な挑発も、日本経済沈没も、原発再稼働も、すべては安倍政権のしわざだ。 安倍政権の否定こそ、今の日本が緊急に必要とする事だ。 しかし、それはいまの政党や政治家ではできない。 たとえ安倍政権が倒れても、民主党による政権交代はあり得ず、民主党による政権交代が起きれば日本はもっと混乱する。 どうすればいいか。 緊急避難的な国民連合政権が必要になる。 それは、共産党の唱える既存の政党、政治家による反安倍政権の樹立ではない。 新党憲法9条構想に基づく、自民党の良識派を巻き込んだ、本物の国民連合政権である。 憲法9条のもとに、政治家と官僚を国民の意思に従わせる。 それはとりもなおさず戦後の日本が必要としてきた本物の市民革命政権である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)