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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

公然と破られるシビリアンコントロールと護憲派の沈黙
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年6月11日第447号 ■   ==============================================================   公然と破られるシビリアンコントロールと護憲派の沈黙  ==============================================================  いつからこの国は集団的自衛権を公認するようになったのだろうか。  6月10日の各紙が一斉に報じていた。  海上自衛隊とインド海軍の初の共同訓練が6月9日相模湾で行なわれ たと。  しかもその訓練は、名指しこそしないが、尖閣諸島や南シナ海で軍事 増強をしている中国海軍を仮想敵軍と見なした訓練であるという。  思えば自衛隊が米国以外の第三国の軍隊と共同訓練することがここに きて当たり前のように次々と行なわれている。  豪州軍と訓練をし、フィリピン軍と行なっている。  日米間での共同訓練はいうまでもない。  しかし日米間の共同軍事訓練は日米安保条約という根拠がある。  もとより日米安保条約が集団的自衛権の行使を認めているかどうかは 大きな憲法解釈問題だ。  だからこそ常に日米安保条約はその違憲性が議論されてきた。  ところが豪州や、フリピンや、そして今度のインドとの共同訓練には 条約上の根拠はない。  民主党政権下の政策決定で、なし崩し的に、しかも立て続けに行なわれ ているのだ。  それだけでも大きな問題であるのに、ここに来て驚くべき事態が進行 している。  たまたま見ていたテレビのニュースで海上自衛隊の幹部がこのインド洋 の共同訓練はわが国の安全のために有益だと考える、と発言していたのだ。  これは究極のシビリアンコントロールの逸脱だ。  従来は、自衛隊幹部はわが国の防衛政策についてその価値判断をメディア などで公言することはなかった。  つねに政府の決定としてそれに忠実に従うという言い方で自らの行動の 正しさを説明してきた。  それがシビリアンコントロールである。  ところがその自衛隊幹部は、しかも幕僚長でもない現場の指揮官らしき 中堅幹部が、いとも簡単にわが国の安全保障政策を口にし、今回のインド との共同軍事訓練がわが国の安全にとって有益だと言ってのけたのだ。  こんな事はいままでにはあり得なかったことだ。  自衛隊幹部がそのような発言をしたら直ちに国会で追及されたものだ。  ところが誰もこの発言を問題視しない。  まるでこの国には護憲派と言われる政党も、政治家も、有識者もいなく なった如くだ。  森本防衛大臣の任命がシビリアンコントロールの疑義があると騒がれた。  しかしそれは瑣末な議論だ。  そんな瑣末な事が大きく取り上げられる裏で、本物のシビリアンンコント ロール逸脱が大手を振ってまかり通っている。  この国には健全な安保議論が存在しないということだ。  安全保障政策においても官僚のやりたい放題になってきた。  危険なことになってきた。                                了                                  ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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