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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

いま、永野護の「敗戦真相記」を読み返してみる
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年3月16日発行 第183号 ■     ==================================================================   いま、永野護の「敗戦真相記」を読み返してみる               ==================================================================  未曾有の大震災を前にして、誰もなす術がない。  そんな時は国民皆が力を合わせて乗り切っていくしかない。  それはその通りかもしれない。  しかし、国民一人一人に一体何が出来るというのだろうか。  やはり責任はこの国の政府、官僚にある。  なかんずく、その時にたまたま政権を担っている日本政府、与党 の責任は大きい。  菅民主党政権はその責任を果たしているのか。 この後に及んでレンホーや辻元清美を担当大臣や補佐官に起用して 大衆迎合を図る。 そのようなあざとい菅首相は間違いなく危機の宰相には不適格だ。 受けるほうもしれたものだ。  しかし、たとえどのような政治家が首相であっても、担当大臣で あっても、大きな違いはないのかもしれない。  この国を支配してきた官僚とその上に乗って権力に胡坐を書いて きた政治家たちが、いかに無能であるか。  部下に命令ばかりして自ら額に汗して仕事してこなかったか。  それは、ひとり官界、政界の話にとどまらず、この国の社会全体に 及ぶ構造的な病巣ではないのか。  いま、私は永野護の「敗戦真相記」(バジリコ社)を読み返している。  これは敗戦直後の1945年9月に当時衆院議員の永野護が広島で 行なった講演録をまとめたものである。  日本の指導者の無能、権限争いのために、日本は敗れるべくして敗れた と喝破した永野護という政治家は毀誉褒貶の政治家であるらしい。  しかし彼のその指摘はまさしく今の日本の指導者にもそのまま当て はまるのではないか。  彼が教えてくれた米国進駐軍の嘆きにまつわるエピソードは象徴的だ。  彼は米進駐軍がやってきて日本復興について日本の官庁と交渉したとき、 日本の官吏が上に行けば行くほど物事を知らないことに愕然としたという エピソードを次のように書いている。  「・・・アメリカでは上役ということは、それだけ下役よりも担任の 仕事に通暁していた証拠で、ある局に行って、一番ものを知っている人 といえば、局長だということが当然の常識なのですが、わが国の官庁に おいては、まさにその正反対である。日本の局長はほとんど何も知らない。 課長はぼんやり知っている。事務官はあらかた知っているけれども、 細かい事は属僚に聞かなければわからないという状態で、地位が上に なるほど勉強していない。大臣に至っては、むしろ仕事を知らざるを もって、得意とするがごとき現象すらある。これにはさすがの進駐軍も 唖然としたらしい・・・」(108ページ)。  この国の政治家や官僚たちがいかに無能であるかは、最近に至って あらゆる政策が行き詰っていることから国民はおぼろげに気づき始めて いた。  それを決定的にさせたが今回の大震災であったのだ。  この国の支配構造は根本的に改められなければならない。                              了

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