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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

国民の最大の敵は大手メディアだと言う週刊ポストの記事
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年3月10日発行 第173号 ■    ==================================================================   国民の最大の敵は大手メディアだと言う週刊ポストの記事               ==================================================================  菅民主党政権の下で毎日あらたな問題が露見しない日はない。  しかもいずれも政権の統治能力を疑う大きな問題ばかりだ。  それにもかかわらず総辞職や解散・総選挙の緊迫感がまるで感じ られない。  少なくとも6月末の国会終了までは菅首相続投が既定路線である かのようだ。  なぜか。  それはもちろん野党が菅政権を本気で追い詰める気迫と能力がない からである。  しかし、最大の理由は大手メディアが菅叩きを本気で行なわない からである。  大手メディアが菅つぶしの報道を繰り返せば、とっくの昔に菅首相 は倒れていただろう。  すなわち菅首相は大手メディアに迎合し、大手メディアは弱体内閣を 手玉にとって政権を思いのままに動かそうとしているのである。  そのような菅首相と大手メディアの関係を象徴する二つの記事がある。  一つは2月27日の読売新聞の記事だ。  それは菅首相が読売新聞、日経新聞、毎日新聞、産経新聞4社を招いて、 「社会保障改革と税の一体改革」についてお説拝聴をしたという記事だ。  各社とも社会保障の財源確保には消費税引き上げが不可欠だと指摘した という。朝日新聞に至っては、菅政権は朝日の意見は知っている。思いの ままだ、いまさら出席の必要もない、と言わんばかりに資料のみを提出 して欠席している。  もう一つの記事は、3月7日の日経新聞「核心」というコラムである。  「招いてもらって失礼ではあるが、もう一つピンとこない会議であった」 という書き出しではじまる平田育夫という論説委員長のその記事は、 ありていに言えば、社会保障の財源がないから消費税を上げるなどと 国民をごまかすような事を言わずに、財政再建のためには増税は止むなし、 と明言して泥をかぶれ、とはっぱをかけている。  この二つの記事こそ、菅首相が大手メディアに頭を下げ、国民の声 よりも大手メディの意見を政策に取り込み、そうして大手メディアを 味方につけて政権を延命しようとしていることを見事に表している。  この国の大手新聞が、どうしようもないと思いながらも自分達のいう ことを聞く御しやすい菅民主党政権を支持し続けていることを見事に 物語っている。  大手メディアの言う事を聞かずに大手メディアに叩かれ葬り去られ ようとした小沢一郎と比べればあまりにも対照的である。  もはや国民生活にとっては百害あって一利なしの菅民主党政権と大手 メディアが、国民に背を向けて保身と打算の関係でもたれあっている としたら、馬鹿を見るのは国民だ。  そう思っていたら、その気持ちを見事に言い当てた記事を見つけた。   発売中の週刊ポスト3月18日号に、「新聞党」VS「嫌われ者連合」 ―日本リセット大相関図、と題する極めて注目すべき記事がある。  その記事は、これからの戦いは、「新聞党」すなわち大手メディアが 情報操作をして支え続ける勢力(一部の自民党や菅・仙谷・松下政経塾の 政治家、官僚、財界)と、メディアに嫌われ、叩かれる勢力、すなわち 大手メディアの情報操作によってつくられる支配構造を根本的に変えて、 国民のために減税・地方主権・脱官僚を実現しようとする反乱勢力との 戦いとなる、という記事だ。  反乱勢力とは小沢一郎であり、亀井静香、田中康夫であり、河村たかし、 橋下徹、渡辺喜美などである、という。  もちろん、週刊ポストのその記事も認めているように、そこに書かれて いる「新聞党」VS「嫌われ者連合」の大相関関係図の主要人物は、考え 方が必ずしも一致するわけではなく、それ故に必ずしも彼らが連携する とは限らないが、すくなくとも国民にとってのこれからの戦いは、菅降ろし などというどうでもいい権力争いではなく、国民の敵である大手メディア の政治支配を許すかどうかの戦いだ、と週刊ポストの記事は言っている のである。  私はこの週刊ポストの記事は的を得ていると思う。  そしてこの週刊ポストが書く大相関図には、見事に欠落している政党、 政治家がいる。  それは護憲政党(共産党および社民党)であり護憲政党の政治家である。  確かに護憲政党の政治家は、橋下や河村や渡辺をヒットラーであるとか 新自由主義者であるなどと言って、激しく嫌う。  小沢問題についても小沢一郎に厳しい。  しかし、だからといって「新聞党」の側に立とうとするわけでもない。  菅首相を批判しているのか、擁護しているかわからない。  要するに護憲政党は、天下分け目の大手メディアと国民の戦いにおいて、 どちらを向いているのか分からないのである。  その事もまた週刊ポストは見事に教えてくれている。                              了

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