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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

メア発言問題で浮き彫りになった戦後の日米関係の病根
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年3月9日発行 第170号 ■    ==================================================================   メア発言問題で浮き彫りになった戦後の日米関係の病根               ==================================================================  さすがにメディアも取り上げざるをえなくなった。共同通信の 第一報をあれほど無視した大手新聞やテレビも、騒ぎが大きく なれば書かざるを得ないのだ。  そしてここ2日の間にテレビや大手新聞が報道するものを読み 進めていくうちに、一つの重大な事に気づいた。  このメア発言問題のなかに、戦後の日米同盟関係のすべての醜悪な 病根が集約されているのだ。  順不同にそれを指摘してみる。 1.沖縄の読者からの投稿で知ったのだが、今度の報道からその   正しさが証明された。メア暴言は日常的に行なわれていた。   ところが本土ではそれが報道されなかった。つまりこの国の   大手メディアは日米同盟の不都合を積極的に知らせようと   してこなかった。いや隠蔽してきた。そのメディアの売国性   である。 2.官僚はもっと売国的だ。このメア発言は彼一人が思っている   ことではない。彼が付き合ってきた官僚たちの中に同じような   発言をしているものがいて、その発言や考えがメアに影響を与え   たに違いない。官僚たちは日本国民でありながら米国の都合を   優先するのである。 3.日本政府、いや菅民主党政権の救いがたい対米従属さである。   第一報が流れた時、「事実だとしたら」遺憾と言った。事実が   明らかになって初めて抗議したが、電話一本の抗議だ。要するに   本気で抗議する積もりはないのだ。米国を怒らせて菅首相の   訪米に支障が出ては困るのだ。 4.本土の国民の沖縄に対する冷淡さである。差別といってもいい。   メア発言は日本国民に対する侮辱でもあるのに、それに対する   怒りが全国的に広がらない。沖縄問題の解決がいつまでたっても   進まない理由がここにある。 5.メア発言が明るみになったのは日系米学生トーリ・ミヤギ(20)   らの内部告発だった。沖縄在住者から私にあてた投稿には、メア   発言が日本記者に対するオフレコの発言だったら表にでなかった、   学生の前で話したから表にでたのだ、という言葉があった。   しかしそれだけでは不十分だったのだ。講義に出た14人の学生   のうちミヤギという日系の学生ら5人がメモをとり互いに確認して   発言録としてまとめた(3月9日朝日)。その動かぬ証拠が告発   されたからこの発言が世に知らされた。我々はこの5人の学生の   勇気ある告発に感謝し、彼らを守らなければならない。 6.メア発言問題の渦中の中においても、官僚たちは日米安全保障高級   事務レベル会議を10日から予定通り行なおうとしている。そこに   メア日本部長も出席予定だった。さすがにそれは取り止めになった   (3月9日日経)らしいが、それでも沖縄問題をはじめとした日米   同盟の深化が着実に進められる。菅政権が機能せず、外相も不在   の中で官僚たちが日米同盟を深化させるのだ。 7.最後に、これは産経新聞しか報道していないのだが、メアは憲法   9条についても発言している。つまり憲法9条があるから米軍は   日本に駐留できる、日本を食い物にできる、憲法9条に感謝しな   ければならない、と。   産経はこれを知って、だから憲法9条を変えて日本は軍隊を持て、   とはしゃぐ(3月9日産経抄)。   日本の護憲政党はなぜこのメア発言を問題にしないのか。憲法9条   に違反する米軍の撤退を要求しないのか。                             了

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