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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

事業仕分けがむなしく思える本当の理由
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年11月15日発行第205号 ■       ===============================================================          事業仕分けがむなしく思える本当の理由     ===============================================================  大勢の人間がよってたかって議論して事業仕分けをやっている。  その報道を眺めながら、どこかピントが狂っているような気がする。  何のために事業仕分けをするのか。  それはもちろん無駄をなくすためだ。  なぜ無駄をなくさなければいけないのか。  それは予算が足りないからだ。赤字財政だからだ。  しかし、その一方で景気回復が叫ばれる。景気が回復すれば税収も増え、 無駄の削減のために罵りあわなくてもよくなる。  どっちが優先されるべきか。  そう思っていたら、知人の一人である経済評論家が自らのブログに要旨 こんな事を書いていた。  「・・・資本主義が存続出来るか出来ないかは『無駄』にかっている。 オバマ大統領は内需拡大の本命として、日本が最も嫌うコンクリート型 公共投資に借金(国債)をつぎ込んでいる。建てたばかりの公共施設も 不便だと言っては壊し又建てる。  成熟した経済にはこうした無駄こそが内需拡大と成長の即効薬なのである。  日本は無駄を経済の敵としているのだから、とても内需拡大などおぼつか ないし、デフレ脱却など夢の又夢と言うものである・・・」  この考えは典型的なケインジアンの考え方である。  その考えの行き着く先は、最善の景気回復策は戦争であるという考え である。  戦争という絶対的な破壊を行い、破壊された後に復興という有効需要を 創出できるからである。  戦争は冗談としても、この経済評論家の言っている前段部分は一理ある。  しかし後段の部分、すなわち「日本は無駄を経済の敵としているのだから、 とても内需拡大はおぼつかない」というところは、果たして正しいのか。  その事を考える事は、正しい事業仕分けはどうあるべきか、という根本的 問いかけの答えを見つける事である。  議論の最大のポイントは「無駄」とは何か、という事である。  「無駄」というはやり言葉には、二つのまったく異なった概念が混在して いるように思う。  たとえば人の通らない場所に道路を作る。不必要に大きな公共施設をつくる。  それらは確かに無駄だ。  しかし、それらいわゆる「箱モノ」事業は、有効需要を生み出すという意味 では決して単なる無駄ではない。  公共事業によって請負業者は仕事にありつける。  談合といえども、それが業者間に公平に利益が分配されるのであれば一つの 知恵だ。  問題は有効需要につながらない無駄があまりにも多いという事だ。  そしてそれは無駄というより権力者たちの犯罪的行為なのである。  そうなのだ。  根絶されなければならない本当の無駄は、官僚の税金横領もどきの無駄 であり、天下り事業をつくるための無駄である。官僚の財布代わりとなって いる特別会計に集められたカネの無駄である。  これらは、無駄と呼ぶよりも、横領、不正流用、予算の私物化、といった 犯罪的行為なのである。  そのようなカネは、決して有効需要創出や経済活性化につながらない。  政治家や官僚に渡るカネのほとんどは蓄財や運用に使われ有効需要創出に まわらない。  政治家や官僚をリストラし、彼らの利権を奪い、給与や特権をなくし、その 予算を減税や公共料金の値下げ、様々な形の医療、社会保障の拡充という形で 再配分する。  それこそが最善、最強の内需拡大策なのだ。  無駄と言う名の権力者の税金横領をなくすことが最大の事業仕分けなのだ。  しかし、その事業仕分けは蓮舫議員にはできない。  ましてや民間人からリクルートした仕分け人にはできない。  菅首相の政治的決断が無くては出来ない究極の政治決定である。  目の前で行なわれている事業仕分けがむなしく映る理由がそこにある                                                                            了

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