□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年7月27日発行 第36号 ■ =============================================================== ユダヤ系元判事ゴールドストーン氏に乾杯 ================================================================ いつか書きたいと思って資料を揃えておきながら、ついに書きそびれて しまう幻のメルマガ原稿は数え切れなくある。 今日のメルマガはそれが蘇った一つである。 蘇らせてくれたのは7月26日の朝日新聞の小さな記事であった。 その記事は、2008年暮れから2009年1月まで三週間続いたイスラエル によるガザへの大規模攻撃に関し、7月25日までにイスラエル政府が学校 攻撃を正当化する最新報告書を公表した、というものであった。 いまさらながらイスラエル政府の厚顔、非道さを思い知らされるのが、同時に この朝日の記事は、私に週刊ニューズウィーク誌日本語版6月23日号の記事を 思い出させてくれた。 「対立の狭間で引き裂かれて」というタイトルのその記事は、ガザ攻撃を めぐる国連人権委員会の事実解明調査団団長を引き受けた南アフリカのユダヤ系 元判事であるリチャード・ゴールドストーン氏の苦悩を綴った記事である。 「あのとき断っていたらどうなっていただろうか。この数ヶ月間、南アフリカ のリチャード・ゴールドストーン元判事はそう自問し続けている・・・」 こういう書き出しで始まるその記事は、法律家としての輝かしいキャリアの 最後に、対立を続けるイスラエルとパレスチナの間に入る決心をしたゴールド ストーン氏をめぐる感動的なエピソードである。 ゴールドストーン氏はアパルトヘイト(人種隔離政策)時代にリベラル派の 白人判事として活躍し、後にネルソン・マンデラ大統領から憲法裁判所判事に 任命された人物だという。 栄光に包まれたままそのキャリアを終えられたはずだった。 しかし、調査団の団長を引き受ければイスラエルとパレスチナ双方の力に なれると考えたゴールドストーン氏は、困難を承知でその役割を引き受ける。 そして真実に忠実であり続け、イスラエルがガザの民生用インフラに大規模な 被害を与えた事実を報告書(09年9月公表)で浮き彫りにした。 これこそがガザ紛争のとりわけ醜い側面だ。農地はブルドーザーでならされ、 浄水施設は砲撃され、唯一稼動していた製粉所が空爆され、学校も破壊された、 と。 団長を引き受けた事により同胞のユダヤ人に「裏切り者」と非難され、妻から孫 に至るまで家族に脅迫が及ぶ。 それでも約600ページにわたる調査団の報告書については一行たりとも後悔 していないと語るゴールドストーン氏は素晴らしい。 イスラエルがこんなに反発する事を知っていたら、そして家族がこんなひどい 目にあう事を知っていれば引き受けなかった、と素直に認めるところがまたいい。 そんなゴールドストーン氏に乾杯! 了 ≪メルマガに関する問い合わせは、info@foomii.com へ直接ご連絡願います≫ お知らせ 「さらば日米同盟」の出版記念講演を、政治評論家の森田実さんの 特別参加を得て次の要領で行ないます。 13:35-14:00 天木直人「出版の意図を語る」 14:05-14:45 森田実 「特別講演」 休憩 15:00-16:00 天木直人・森田実対談(司会天木) 16:00-17:00 聴衆との応答(司会天木) 日時 8月8日(日) 午後一時開場 場所 赤坂区民センター大ホール 港区赤坂4-18-13 地下鉄銀座線・丸の内線 赤坂見附駅 A出口徒歩10分 大江戸線・半蔵門線 青山一丁目駅 4番出口徒歩10分 参加 無料(予約の必要はありません。直接会場へお越し下さい)。 (連絡先:春田 090-2415-7617 u12u9lo6@image.ocn.ne.jp ユー12ユー9エルオー6)
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)