□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年7月26日発行 第34号 ■ =============================================================== 民主主義と長引く戦争は共存できない ================================================================ 7月20日に行われたアフガン復興支援会議の報道を、今改めて読み直して みた。そしてつくづく思った。米国は明らかにアフガン戦争から手を引こうと している。 しかし、ただ手を引くだけではない。腐敗にまみれたカルザイ大統領と バン・ギブン国連事務総長という二人の傀儡を共同議長に押し立てて、アフガン の安定化や復興援助を国際社会に押し付けて逃げようとしているのだ。 そんな米国の虫のいい「出口戦略」を知ってか知らずか、先頭に立って税金を 大盤振る舞いしている岡田外交の対米従属振りについては、ここでは書かない。 なぜ米国はアフガン安定化のメドが立たないまま、手を引かざるを得なくなった のか。 それにはもちろん様々な理由がある。 勝つメドが立たない。 戦費が続かない。 高まる世論の厭戦気分、などがそれだ。 しかしその中でも、米政府にとって最も深刻なのは、現場の軍人幹部と ワシントン政界の間の不信感の高まりに違いない。 7月23日の毎日新聞は、「アフガニスタン駐留米軍の指揮を取っていた マクリスタ司令官(陸軍大将)の解任劇の背景には、単なる不注意な舌禍では なく、軍の政治に対する不信感があった」、という米国の見方を紹介している。 陸軍士官学校出身でベトナム戦争にも従軍したボストン大学のアンドリュー・ ベースビッチという教授(国際関係論)がこう言っているというのだ。 「・・・マクリスタル氏の側近らが示した文民高官を侮る姿勢は、米軍のプロ 意識が低下している事を暗示している。それは戦争が長引いた事に起因する・・・」 アフガン、イラクの二つの「長い戦争」が原因だと言うわけだ。 そしてその毎日新聞の記事は、次のように締めくくっている。 「欧州復興計画(マーシャルプラン)で知られる第二次世界大戦時のジョージ・ マーシャル将軍はかつて『民主主義国家は7年もの戦争を戦うことはできない』 と語った。01年の米同時多発テロ後に始まったアフガン戦争は既に8年を超え、 再び現場の不満が噴出す可能性は否定できない」 およそあらゆる戦争は間違いだが、長引く戦争などはそれ自体が失敗を証明 しているようなものだ。 「テロ」との終わりのない戦争などというものは、「民主主義の米国」では はじめから勝てない戦争ということだ。 そういえば「二つの民主主義国家の間では戦争は起きない」と言った者も、 米国の某国会議員だった。 気の利いた言葉を見つけ出す事だけは米国人はうまい 了 ≪メルマガに関する問い合わせは、info@foomii.com へ直接ご連絡願います≫ お知らせ 「さらば日米同盟」の出版記念講演を、政治評論家の森田実さんの 特別参加を得て次の要領で行ないます。 13:35-14:00 天木直人「出版の意図を語る」 14:05-14:45 森田実 「特別講演」 休憩 15:00-16:00 天木直人・森田実対談(司会天木) 16:00-17:00 聴衆との応答(司会天木) 日時 8月8日(日) 午後一時開場 場所 赤坂区民センター大ホール 港区赤坂4-18-13 地下鉄銀座線・丸の内線 赤坂見附駅 A出口徒歩10分 大江戸線・半蔵門線 青山一丁目駅 4番出口徒歩10分 参加 無料(予約の必要はありません。直接会場へお越し下さい)。 (連絡先:春田 090-2415-7617 u12u9lo6@image.ocn.ne.jp ユー12ユー9エルオー6)
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)