□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年7月25日発行 第32号 ■ =============================================================== 普天間問題で迷走しているのは米国の方だ ================================================================ 普天間問題をめぐる日本の報道が混乱している。 たとえば7月24日の読売、朝日はワシントン発の記事として、米国側が 日米間で合意した2014年までの移転完了を断念したと報じている。 これは決して日本側の迷走のためではない。グアムのインフラは急な建設 速度に対応できないことがわかったからだ。もっぱら米国側の都合である。 その事を24日の朝日新聞ははっきりとこう書いている。 「・・・(鳩山前政権の迷走で)日本側は守勢に回る場面が多かった。 (5月末の)共同声明作成時も日本側が多くの譲歩を迫られた。だが、 海兵隊移転が目標どおり実現できない見通しが強まれば、米側も約束を 果たせないことになるため、将来的な交渉で(日本は)より対等の関係になる 可能性がある・・・」、と。 驚くべき指摘である。 ところがその同じ24日の朝日はハノイ発の記事として、岡田外相が訪問先 のハノイで23日、クリントン国務長官と会談して、「沖縄県の理解を得る ことが出来なければ実質的には前に進む事が出来なくなる」としてクリントン 国務長官に理解を求めた、などという記事を掲載している。 24日の産経新聞に至っては、次の通り、あたかも米国が合意期限を先延ばし しようとする日本側に不快感を示したような記事を掲載している。 ・・・日本政府が今月行なわれた日米専門家協議の席上で、沖縄知事選が 行なわれる11月下旬以降に最終決着を先送りする意向を米側に伝達していた 事が23日わかった、これに対して米側は「重大な懸念」を示した・・・ どっちが本当なのか。 もちろん米側の都合でグアム移転が遅れそうだ、というのが正しい。 これら一連の報道の混乱は何を意味しているのか。 それは一つには日本のメディアのいい加減さである。 様々な特派員からの情報を総合して正しい記事を書くべきところを、あるいは 怠慢で、あるいは自らの方針に沿った思い込みによって、不正確な記事を書いて しまう。 そんな報道を唯一の根拠にして判断する国民は簡単に誤導されてしまう。危険 な事だ。 しかしもっと重要な意味がある。それは米国自身が普天間問題について迷走 しているということである。 いまや国防総省に主導された米国の安保政策は、必ずしも国務省のそれとは 一致していない。 指導力にかげりの出始めたオバマ政権の安保政策を、必ずしも米国議会は同意 していない。 それどころか米国の有力な政治家でさえ海兵隊を沖縄に残しておく意義はない と言い出している。 おまけに米国の財政危機は普天間移転どころではない。 普天間問題で迷走しているのは米国の方なのである。 米国の方針が揺らいでいる今こそ、本当は普天間問題を根本から考え直す好機 なのである。 菅民主党政権は、いまこそ沖縄住民の声に耳を傾け、沖縄の米軍基地縮小・撤廃 に向けて再交渉を始める時ではないのか。 外務・防衛官僚の言いなりになって沖縄住民の理解を得ることしか念頭にない 菅民主党政権であれば、私はそれだけで菅民主党政権を全否定する。 了 ≪メルマガに関する問い合わせは、info@foomii.com へ直接ご連絡願います≫ お知らせ 「さらば日米同盟」の出版記念講演を、政治評論家の森田実さんの 特別参加を得て次の要領で行ないます。 13:35-14:00 天木直人「出版の意図を語る」 14:05-14:45 森田実 「特別講演」 休憩 15:00-16:00 天木直人・森田実対談(司会天木) 16:00-17:00 聴衆との応答(司会天木) 日時 8月8日(日) 午後一時開場 場所 赤坂区民センター大ホール 港区赤坂4-18-13 地下鉄銀座線・丸の内線 赤坂見附駅 A出口徒歩10分 大江戸線・半蔵門線 青山一丁目駅 4番出口徒歩10分 参加 無料(予約の必要はありません。直接会場へお越し下さい)。 (連絡先:春田 090-2415-7617 u12u9lo6@image.ocn.ne.jp ユー12ユー9エルオー6)
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)