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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

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なぜ寺島実郎は日米同盟は誤りだと明言しないのか
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン 2010年7月20日発行 第24号 ■        ===============================================================         なぜ寺島実郎氏は日米同盟は誤りだと明言しないのか                                             ================================================================  およそ大手メディアで受け入れられ、重用されている言論人の中で、 日本の対米従属外交をこれほどはっきりと批判する言論人は寺島実郎氏を おいて他にいないだろう。  その寺島実郎氏が「世界」8月号で、「日米同盟は『進化』させねば ならない」と題して政府の対米外交を批判している。  曰く、鳩山首相が向かい合うのは沖縄住民ではなく米国政府であった。  曰く、駐留経費の7割を負担し、占領軍にも等しい地位協定上のステータス を受け入れる国など日本以外に無い。米国こそ日米安保条約の最大の受益国だ。  曰く、日米双方の「日米安保で飯を食っている人たち」が既得権を失う事を 恐れて「日米の良好な関係を崩してはならない」と叫んでいる。  曰く、日本が日米同盟で中国の脅威と向かい合おうとするのは認識不足だ。  曰く、「イラクの失敗」を冷静に総括する事もなく、「駐留米軍はアジアの 安定のための公共財」などと繰り返す日本のメディアは思考停止だ。  などなど。  私が常日頃言っている事と同じだ。どう考えてもこれは日米軍事同盟に 批判的な評論だ。  ところがその寺島実郎氏は、「日米同盟反対」とは決して言わない。それ どころか日米同盟は進化させるべきものだと言う。  この「世界」という月刊誌で述べられている「日米同盟の進化」とは次の ごとくである。  それは第一段階として、日米戦略対話を進める事であるという。すなわち 米国への過剰な軍事依存を解消し、アジアにおける経済産業面での連携を 深める事だと言う。  第二段階として、米軍基地を「米国側が占領権を持った基地」から、 「日本側が管理権を持ち、抑止力のために米軍が駐留している共同使用基地」 に移行させる事だと言う。  そして第三に、「基地無き日米同盟」の確立であるという。すなわち 専守防衛に徹し、北東アジアの平和構築実現に主体的に働きかける粘り強い 平和外交戦略を展開するが、「極東有事」に対応するためには「緊急派遣軍」 のような兵力を抑止力として維持するために日本が一定の対米コストを負担 する、という事だと言う。  これこそが信頼できる真の「日米同盟の進化」であるという。  実にわかりにくい。  わかりにくいばかりか、これは米国と言う国を理解していない机上の空論 である。寺島実郎の限界がここにある。  重要な事は、米国の本質は決して平和を希求しない戦争国家である、という 認識である。  そのような国との軍事協力は、如何なる意味でも世界の平和に貢献しない、 日本の国益にならない、という認識である。  なによりも憲法9条を戴く日本と相容れないという認識である。  日米軍事同盟は、「深化」でも、「進化」でもなく、「解消」すべきもの である。「さらば日米同盟」なのだ。  この事を正面から主張するのはもはや日本共産党だけだ。  この事を主張すれば、たちどころに日本共産党だと決めつけられて無視される。  米国の思惑通りである。   しかし、米国がどのような策を弄しても、そしてその米国に日本の指導者たち がいかに必死になって追従してみても、米国そのものが早晩破綻していく。  日本は嫌でも米国から離れざるを得なくなる。  そうであれば日米同盟から自立するのは早ければ早いほうがいい。                                                           了                                                                                         ≪メルマガに関する問い合わせは、info@foomii.com へ直接ご連絡願います≫                                     出版記念会のお知らせ 「さらば日米同盟」の出版記念講演を、政治評論家の森田実さんの ご参加を得て以下の通り行ないます。  森田さんとの打ち合わせで当日のプログラムは以下の通りとなりました。  13:35-14:00 天木直人「出版の意図を語る」  14:05-14:45 森田実 「特別講演」         休憩  15:00-16:00 天木直人・森田実対談(司会天木)  16:00-16:00 聴衆との応答(司会天木) 日時 8月8日(日)    午後一時開場 場所 赤坂区民センター大ホール    港区赤坂4-18-13    地下鉄銀座線・丸の内線 赤坂見附駅 A出口徒歩10分    大江戸線・半蔵門線 青山一丁目駅  4番出口徒歩10分 参加 無料(予約の必要はありません。直接会場へお越し下さい)。 (連絡先:春田 090-2415-7617 u12u9lo6@image.ocn.ne.jp                 ユー12ユー9エルオー6) 講演会の概要については次のURLを参考にして下さい。      http://d.hatena.ne.jp/Takaon/20100702                                                         

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