□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年7月19日発行 第24号 ■ ───────────────────────────── 岡田外相に白紙委任された日本外交の危険性 ----------------------------- 普天間基地問題の責任を追及する時、真っ先にあげられるのは鳩山前首相 の迷走と指導力のなさだ。 防衛官僚の言いなりに終始する北沢防衛大臣の識見のなさだ。 そして副総理の身でありながら一切のかかわりを避け、総理になったとたん 対米従属の正体をあらわした菅直人の無責任さだ。 しかし、真の責任者は、外務大臣と言う要職にありながら、日本外交の 存在感を何一つ示すことのできなかった岡田外相であると私は思っている。 そしてその岡田外相にいまや日本外交を白紙委任されているごとくだ。 そこに私は大きな危惧を覚える。 今日(19日)の読売新聞外交面に二つの象徴的な記事が並んで掲載されて いた。 一つは18日にイラクのバクダッドで爆破テロが相次いで起きたという記事 である。米国のテロ掃討作戦に参加するイラク自衛組織に対するアルカイダの 報復であるという。 もう一つはやはり18日にアフガンで自爆テロが起きたという記事である。 20日から始まるアフガン支援国際会議の妨害であるという。 19日の毎日新聞は一面トップで、米国の攻撃から逃げ惑うアフガン難民が 地域の不安定要因になっている、このままではアフガンの未来はない、と警告 している。 おなじく19日の産経新聞は、アフガンの民間人被害は、2001年から 始まった米国のアフガン攻撃以来最悪となったと報じている。 要するに米国の「テロとの戦い」は完全に失敗であり、行き詰まっている という事だ。 そして、その混乱の後始末すら出来ずに米国は撤退せざるをえない。もはや 米国経済の破綻が占領を許さないからだ。 いま米国が行なおうとしていることは、自らの失敗の尻拭いを、あたかも 国際社会の共同責任であるかのように言い立てて他国に押しつける事である。 その典型がカブールで20日から開かれるアフガン支援国際会議だ。 その会議に日本政府を代表して岡田外相が19日出発すると言う。 支援国会議で数百億円の援助を表明するという。 元タリバン兵の社会復帰策や治安向上のため警察官の給与負担、警察官 幹部研修協力策に対する財政支援であるという(19日各紙)。 このような支援を岡田外相に白紙委任してはいけない。税金を米国の 尻拭いに使わせてはいけない。 米国の「テロとの戦い」が続く限りイラクやアフガンに平和は来ない。 腐敗した傀儡政権をいくら財政支援しても腐敗を増長するだけである。 なによりもアフガンのカルザイ政権を見放しているのは米国なのだ。 「日本をダシにするカルザイに気をつけろ」(春名幹男 6月25日日刊 ゲンダイ)は、もはや国際社会の常識となっている。 ここまで間違った日本のアフガン政策であるのに、日本の国会もメディアも 誰もこの事を指摘しない。 参院選の敗北でそれどころではない菅民主党政権下では、外交は岡田外相に 白紙委任されているごとくである。これは危険だ。 民主党はかつて野党の時、その政策が同じでも、政権交代のために自民党の 対米従属政策を批判し、対テロ対策支援給油などに反対した。 政局のための反対だった。 それでも自民党の対米外交の歯止め効果はあった。 その民主党が政権についた今、民主党の対米追従政策を批判する政党は なくなった。 それをいい事に岡田外相の外交は一切の議論なく進められている。 岡田外相の責任は大きく、それを許す菅直人政権の責任はさらに重大である。 了 ≪メルマガに関する問い合わせは、info@foomii.com へ直接ご連絡願います≫ 出版記念会のお知らせ 「さらば日米同盟」の出版記念講演を、政治評論家の森田実さんの ご参加を得て以下の通り行ないます。 森田さんとの打ち合わせで当日のプログラムは以下の通りとなりました。 13:35-14:00 天木直人「出版の意図を語る」 14:05-14:45 森田実 「特別講演」 休憩 15:00-16:00 天木直人・森田実対談(司会天木) 16:00-16:00 聴衆との応答(司会天木) 日時 8月8日(日) 午後一時開場 場所 赤坂区民センター大ホール 港区赤坂4-18-13 地下鉄銀座線・丸の内線 赤坂見附駅 A出口徒歩10分 大江戸線・半蔵門線 青山一丁目駅 4番出口徒歩10分 参加 無料(予約の必要はありません。直接会場へお越し下さい)。 (連絡先:春田 090-2415-7617 u12u9lo6@image.ocn.ne.jp ユー12ユー9エルオー6) なお講演会の概要については次のURLを参考にして下さい。 http://d.hatena.ne.jp/Takaon/20100702
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天木直人(元外交官・作家)