□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年7月10日発行 第12号 ■ ───────────────────────────── 選挙後は増税、安保、公務員改革を軸とした政界再編を望む ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 不毛な選挙戦も今日で終わる。 政権交代後の初めての国政選挙というのに、なぜ今回の選挙が これほど不毛なものになったのか。 それはもちろん革命政権でのはずであった民主党政権が、菅直人 政権になったとたん自民党的なものに急傾斜したからだ。 それにともなって選挙の争点がぼけた。 しかしそれだけではない。 すべての与野党が、選挙に勝つ為に(つまり国民の支持を得る為に) 本音を隠して曖昧な態度に終始したからだ(もっとも日本共産党の名誉 のために言っておくが日本共産党は別だ。しかし日本共産党は共産党 なのだ)。 これでは選挙が面白くなるはずはない。 どのような選挙結果に終わろうとも、選挙後の政局は政界再編向かって 走り出すことで衆目は一致している。 ならば今度こそ明確な対立軸に沿って戦後政治の究極の政界再編が 行なわれて欲しい。 そうなるかどうかはわからない。さらなる次元の低い政界の合従連衡 が繰り広げられるおそれさえある。 しかし本物の政界再編が起きる事を願って勝手に私の希望をこの メルマガで三回に分けて書いてみる。 私の三大テーマは、増税、安保(普天間、日米同盟)、公務員改革 (天下り禁止、脱官僚支配)である。 これらは日本の将来を考える上での重要なテーマであるにもかかわらず、 あるいは国民の手前、あるいは党内の意見対立を隠すために、どの政党も 曖昧にしてきた問題である。 ここをはっきりさせないと政治は緊張感のあるものにならない。 第一回目は増税について書いてみる。 増税と言えば菅首相の消費税10%増税が急浮上し、今度の選挙でも 最大の争点になった。 しかし菅民主党政権は消費税増税だけを考えているのではない。あらゆる 税収を上げようとしているのだ。 その事を教えてくれる記事を見つけた。 7月10日の日経新聞は日本経団連のシンクタンクである21世紀政策 研究会が9日に都内で開いた「税・財政の抜本改革に関するシンポジウム」 の模様を報じていた。 そこで峰崎直樹財務副大臣は基調演説でこう言ったというのだ。 消費税率の引き上げを含めた税制の抜本改革に取り組む事を改めて強調 した上で、「これからは国民に純負担増を求めていく」、と言ったという。 純負担増などとはトンでもないことだ。選挙終盤でよくもそれが言えた ものだ。 そして法人税率の引き下げについて言及した際に、「課税ベースの拡大 もしっかり議論していくべきだ」と言ったという。 さすがに民間側からは「日本の課税ベースは目一杯」(キャノン担当部長)、 「課税ベースの拡大で(法人税引き下げの)インセンティブを失うのでは 成長戦略に盛り込んだ意味がない」(経団連経済基盤本部長)、などの 反発が続出したという。 あらゆる政策には予算が要る。 しかしそれを直ちに増税で賄おうとする考えは官僚的発想である。支配者 の論理である。 わずかばかりの事業仕分けしか出来ず、政策予算の大胆な切込みを しようとしなかった民主党は、この点でも自民党と変わりがなかった という事だ。 決して国民のための革命政権ではなかったという事だ。 私はそのような政党を評価しない。 大胆な政策予算の組み換えを行なってこそ政権交代の意味があるのだ。 選挙後の政局では、増税なき経済再建、増税なき経済成長を実現すると 公約する政党が出てきて欲しい。 そしてそれに沿って本物の政界再編が起きて欲しい。 私が注目する一つはこれである。 了 ≪メルマガに関する問い合わせは、info@foomii.com までお願いします。≫ 出版記念会のお知らせ 「さらば日米同盟」の出版記念講演を、政治評論家の森田実さんの ご参加を得て以下の通り行ないます。 日時 8月8日(日) 午後一時開場 場所 赤坂区民センター大ホール 港区赤坂4-18-13 地下鉄銀座線・丸の内線 赤坂見附駅 A出口徒歩10分 大江戸線・半蔵門線 青山一丁目駅 4番出口徒歩10分 参加 無料(予約の必要はありません。直接会場へお越し下さい)。 (連絡先:春田 090-2415-7617 u12u9lo6@image.ocn.ne.jp ユー12ユー9エルオー6) なお講演会の概要については次のURLを参考にして下さい。 http://d.hatena.ne.jp/Takaon/20100702
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)