□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年7月7日発行 第8号 ■ ───────────────────────────── 嘘だった抑止論 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 私は7月5日のメルマガで普天間問題はだまされて終わると書いた。 すなわち大騒ぎした在沖縄海兵隊はグアムに移転する。しかしこれは 当初からの米国の計画通りであり、あたかも米国が譲歩したように 見せて更なる移転経費を日本が払わされて終わる、と。 この事を指摘するメディアは皆無である。唯一ゴシップ夕刊紙日刊 ゲンダイだけが次のように書いていた。 すなわち7月7日付の日刊ゲンダイは孫崎享外務相OB(元防衛大学 教授)の言葉を引用し、「米国は今年1月の一般教書演説で国防費に ついて現状維持を打ち出し、ゲーツ国防長官も防衛予算のうち、戦闘 以外の予算を2-3割削減すると発言しています。移転予算も例外では なく、減らされる分は日本に負担を求めるか、あるいは移転計画その ものを見直すしかないのです」、と。 こんな事は公開情報からでも容易に予想できたはずだ。外務省がいかに 無能か、それとも日本国民よりも米国の意向を優先しているか、どちらか である。 しかし、問題はもっとある。 米国が在沖縄米海兵隊の戦闘部隊を米国の都合でグアムに移転する という事は、そもそも在沖縄米海兵隊の抑止力は嘘だったという事だ。 この事を7月7日の朝日新聞が指摘していた。 すなわち、日米は2006年のロードマップ(工程表)で、普天間 飛行場の移設と関連して海兵隊約8000人とその家族約9000人を グアムに移転させることで合意していたが、それは司令部を中心に 移転する計画だった。 ところが5月末の日米共同声明の交渉で米側が部隊構成の見直しを 声明に盛り込むよう強く求めてきたという。 結果的にはそれが共同声明で「米側は、沖縄に残留する海兵隊要員の 部隊構成を検討する」と書かれることになった。 そして今回の、戦闘部隊の移転を優先するという米側からの一方的 通報である。 驚くべきことは日本側がそんな米国の真意をまったく理解していない という事である。 岡田外相は6日の記者会見で「(移転計画の)若干の中身の違いは当初 想定していたものとは違うものがあるかもしれない」と白状している。 それは取りも直さず、米海兵隊は抑止力であると信じ込んでいた日本が はしごを外されたということである。 在沖縄米海兵隊は、米国にとっては日本に対する抑止力ではないという 証拠である。 朝日新聞のその記事はこう書いている。 ・・・(自民党政権はもとより)民主党政権も海兵隊駐留の理由として 抑止力を挙げているが、部隊構成の見直しはこうした説明と相容れない。 日本側では「議論の根本を変えることになりかねない。危なっかしい 問題だ」(政府関係者)との警戒感が出ている・・・ どこまで言っても日本政府はおめでたい。 米国の真意を何もわからずにただひたすらに日米同盟深化と叫んでいる という事だ。 了 ≪メルマガに関する問い合わせは、info@foomii.com までお願いします。≫ 出版記念会のお知らせ 「さらば日米同盟」の出版記念講演を、政治評論家の森田実さんの ご参加を得て以下の通り行ないます。 日時 8月8日(日) 午後一時開場 場所 赤坂区民センター大ホール 港区赤坂4-18-13 地下鉄銀座線・丸の内線 赤坂見附駅 A出口徒歩10分 大江戸線・半蔵門線 青山一丁目駅 4番出口徒歩10分 参加 無料 (連絡先:春田 090-2415-7617 u12u9lo6@image.ocn.ne.jp) なお講演会の概要については次のURLを参考にして下さい。 http://d.hatena.ne.jp/Takaon/20100702
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)