━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2012/03/20 4月26日東京地裁判決の意味をはき違えるな 第172号 ──────────────────────────────────── 小沢一郎民主党元代表に対する裁判が終盤に差し掛かっている。 3月19日には、最終弁論が行われた。 小沢氏の弁護側は小沢氏の無罪を主張し、また、小沢元代表も意見陳述を行 い、検察の不当で不正な行動を厳しく糾弾した。 事実経過を詳細に追跡している者には、一連の事案の基本構造が明白に認識 されている。 小沢氏および小沢氏の秘書3名は、まったくの無実の罪を着せられ、あるい は無実の罪を着せられようとしている。 日本の警察・検察・裁判所が適正に機能しているなら、そもそも今回の裁判 そのものが存在していない。 小沢一郎氏が法廷で述べたように、政治資金収支報告書の記載については、 実質的な犯罪が存在しない限り、報告書の修正ですべてが処理されてきたのに、 小沢氏のケースに限って刑事責任を追及するとの対応が示されている。 裁判所もこの点についての認識があったのだと思われる。 東京地裁の登石郁朗判事は、この事情から、検察自身が立件を断念した根拠 のない裏金疑惑を事実認定した。この事実認定が不当であることは、一連の捜 査過程を検証するものには明らかなことである。 つまり、一連の刑事事案の最大の根幹は、裏金疑惑の真偽にある。 しかし、検察が公判で演出した裏金疑惑は、裏金を授受したとされる日時が 社用車運転日誌の記録と矛盾するとの決定的な事実によって否定されるもので あり、これを事実と認定した登石郁朗判事の刑事責任さえ追及され得る事案で あると考えられる。 つまり、この裏金疑惑の事実認定がない限り、すべての事案を有罪に持ち込 むことは不可能なのであり、裏金疑惑の事実認定が明らかに正当性を欠いてい ることを踏まえれば、すべての裁判事案が消滅することになる。 とりわけ重大であることは、検察当局が小沢氏を無理やり起訴に持ち込むた めに、重大な犯罪を実行した事実が明るみに出たことである。 すでに市民団体が刑事告発しており、早急な立件が求められているが、当局… … …(記事全文7,052文字)
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植草一秀(政治経済学者)