━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2012/03/12 がれきの放射能リスク重視市民を罵倒する前に 第164号 ──────────────────────────────────── 震災から1年が経過したが、傷は癒えていない。関連死を含め2万人以上の 尊い命の犠牲、34万人が依然として避難生活を強いられ、11万7000人 が仮設住宅生活を強いられている。 昨日出席した祈りの会で、気仙沼の子供5名が素晴らしい八幡太鼓の演技を 披露してくれた。言葉には表せぬ思いを乗り越えて今日まで来ただろう。明日 に向かって生きる子供らのエネルギーに深く感動した。 この世に理不尽、不条理は絶えることがない。しかし、人は、いかなる理不 尽や不条理があろうとも、それを乗り越えて生きてゆくのである。 明日の希望を信じて、しっかり大地に足を踏みつけて、一歩一歩、明日に向 かって歩みを進めてゆく。 必ず、新しい未来が開けてゆく。 犠牲になられた多くの御霊の安らかな眠りを祈り、家族と、愛する人と,友 との別れを強いられた人々の心が少しでもいやされることを祈り、心や体に傷 を負った同朋の一刻も早い回復を願い、被災地の一刻も早い復旧・復刻を願い、 天地の神々に畏敬の念を抱き、明日に向かって祈る。そして、明日に向かって 進む。これしか、私たちにできることはないだろう。 政府は私たちが私たちのために作るものである。天上にいて、上から慈悲を 賜う存在ではない。私たち自身が私たちのために、共同で創設するのが、私た ちの政府である。 このような天災地変に襲われた時こそ、政府が政府の本来の役割を迅速に発 揮しなければならない。 このようなときに、正しく役割を果たさない政府なら、私たちはその政府を 即刻差し替えなければならない。 今回の災害がきわめて特殊であるのは、単なる自然災害ではなく、この自然 災害を原因として、原発核暴走事故が発生したことである。 自然災害の傷は、どんなに大きくても、長い時間が少しずつ問題を収束して ゆく。もちろん、その傷は果てしなく大きく、人々が受けた悲しみや苦しみを、 軽く総括などできないことはその通りだ。… … …(記事全文5,542文字)
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植草一秀(政治経済学者)