━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2012/02/15 東電人事利権に群がり始めたシロアリ財界人 第138号 ──────────────────────────────────── 東電救済策をあたかも正義の政策であるかのように見せる報道が広がってい る。 しかし、これはまやかしの報道だ。 政府が不正で不当な東電救済策を強行するにあたり、その不正イメージを払 拭するために偽装をメディアに依頼し、メディアが協力しているに過ぎない。 2003年に小泉竹中政権がりそな銀行を公的資金で救済した。これを日本 経済新聞が「実質国有化」として報道して以来、「実質国有化」なるいかがわ しい日本語が用いられるようになった。 「実質国有化」の反対にある言葉が「一時国有化」である。 何気なく聞いている限り、両者の違いに気付かない。 2003年の場合、日本経済新聞は「大胆な金融処理」として小泉竹中政権 の「実質国有化」を礼賛したが、ほとんど朝鮮中央放送と変わらない。 実体は、「退出すべき企業を退出させる」方針の正反対の「公的資金で銀行 を救済」を実行したものであり、この責任で小泉政権を総辞職に追い込めなか ったのは菅直人民主党の大失態だった。 正確に表現するならば、「実質国有化」は「公的資金による救済」であり、 「一時国有化」は法的整理である。 何が違うのかと言えば、利害関係者=ステイクホルダーに対する責任処理が 天と地ほどに違う。 実質国有化というのは、政府が資本を注入して、当該事業会社を救済するこ とを指す言葉である。 これに対して、一時国有化は、当該事業会社を法的整理したうえで、政府保 有会社に転換することである。 したがって、一時国有化の場合には、経営責任、株主責任。貸し手責任が法 律の規定に沿って適正に問われることになる。 日本長期信用銀行、日本債券信用銀行、日本航空などは、すべてこの方式に よって処理された。… … …(記事全文4,204文字)
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植草一秀(政治経済学者)