━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2012/02/14 東電適正処理は法的整理以外になし 第137号 ──────────────────────────────────── 東電への資本注入をどうするかなど、混迷が広がっている。 枝野氏が、「十分な議決権が伴わない計画が提出されても認定するつもりは 全くない」と発言し、政府による東電の経営権取得の意向を示している。 この場面だけを見ると枝野氏が正論を述べて、国民の利益を代弁しているか のように見えるが、実態はまったく違う。 政府の東電対応は、世界中の資本主義国家があきれる、お笑い草の対応なの だ。 どこがお笑い草なのか。 それは、原子力事故を引き起こした際の損害賠償のあり方について定めた 「原子力損害賠償法」という法律がありながら、政府がこの法律を無視した東 電救済を進めているからだ。 東電には大きな政治力がある。経産省と東電は癒着している。本来責任を問 われる利害関係者は、できることなら責任を負いたくない。 これらのことが存在することが判明した。これらが、とてつもない原子力事 故を引き起こす遠因になったとも言える。 人類史上最悪レベルの放射能事故を引き起こした現実を踏まえ、過去の悪い 慣習を根元から根絶するというのが、当然の行動ではないのか。 これだけの事故を引きおこしてしまった現実は、もう変えようがない。過去 に戻れるタイムマシンがあるなら話は別だが、覆水盆に返らずだ。 この厳しい現実を踏まえ、過去と訣別する覚悟と行動力が求められている。 東電の政治力を排除し、経産省と東電の癒着を解消し、責任を問うべき当事者 に適正な責任を問う。これが当たり前の対応であろう。 原子力損害賠償法は原子力事故を引き起こしてしまった場合、事業者に損害 賠償責任を負わせている。例外があり得るのは、「異常に巨大な天災地変」に よる場合と「社会的動乱=テロ」による場合だけだ。 この場合ですら、免責になると決まったわけではない。条文には「この限り でない」と記載されているだけで、「責めを負わない」ことが確約される訳で はない。… … …(記事全文4,508文字)
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植草一秀(政治経済学者)