□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2015年2月14日第135号 ■ ============================================================== 中国と安倍首相の対立の問題は我々日本国民自身の対立問題である ============================================================== 現在の日中関係の悪化を、私は習近平主席と安倍首相の対立ではなく、あえて中国と安倍首相の対立と呼ぶ。 なぜなら、この問題に限って言えば、習近平主席の後ろには13億の中国国民の圧倒的多数の意思があるからだ。 翻っていまの日本政府の対中政策は、安倍首相個人の強い思い込みの結果もたらされたものだからだ。 与党政治家も官僚も、内心では異論があっても、安倍首相に逆らってまで反対するという者はいない。 安倍首相の対中外交の結果である。 そして私は現在の日中関係を、「悪化」ではなく、あえて「対立」という。 なぜならば安倍首相や、なかんずく安倍首相を取り巻く側近や国民の言動は、中国に対する憎悪に近いものがあるからだ。 もはや完全な敵対関係になっている。 しかし、これら安倍首相やその側近、支持者たちの考えは、決して国民の総意ではない。 それどころか、多くの国民がその言動に強い違和感と反発を覚えている。 要するに日中関係の対立は、われわれ日本国民の間の対立でもあるのだ。 きのう2月13日の産経新聞が書いていた。 中国の程永華大使は12日、都内で日中友好団体を招いて新年会を開き、そこで次のように挨拶したと。 日本側が歴史を真剣に顧み、村山談話など、歴史を反省する約束を守り、軍国主義の侵略の歴史と徹底的に一線を隠し、平和、協力の明るい未来を切り開いていくよう希望している・・・」と。 じつはこれと同じことを昨日13日に程永華大使は私に語っていた。 つまり悪かったのは当時の軍国主義者の為政者たちであって、決して日本国民ではない。それどころか多くの日本国民は中国と同様、軍国主義の犠牲者であったと。 これこそがあの周恩来首相が日中国交正常化において田中角栄に伝えた言葉であり、日本から賠償を要求することを放棄した理由であるといわれてきた。 「悪いのは日本の軍国主義者たちであり日本国民もまたその犠牲者だ」 このことを中国は今日まで一貫して繰り返してきている。 多くの日本国民もまたそう思っているに違いない。 もちろんそう思わない国民もいる。 その先頭に立っている国民が安倍首相だ。 何しろ、東京裁判を否定し、A級戦犯は勝者の懲罰裁判の結果であると主張し、その名誉を回復するといっているからだ。 これは、もはや歴史認識をめぐる日中間の対立問題ではない。 国民同士のな対立である。 そして私を含め、当時の軍国主義者たちの愚かで無責任な行動で国民は未曾有の惨禍に突き落とされたと考える国民は多いはずだ。 その憤りは、人生を滅茶苦茶にされた怒りからくる激しいものだ。 戦争の悲惨さを知らず、あるいはみずからは高みにいて被害を受けない者たちの世襲支配者たちが、やたらに戦争を口にすることとはわけが違う。 そのような者たちがいくら勇ましい事を言っても通用しないほど激しく、強い憤りがある。 安倍首相は中国と戦う前に、そのような日本国民と戦って勝たなければいけない。 それは到底無理である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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