□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年10月2日第688号 ■ ============================================================= ウィキリークスをめぐる朝日と読売の不毛な競争 ============================================================= 10月1日の読売新聞は、米外交公電の無修正公開に踏み切った ウィキリークスを批判する特集記事を大きく掲載した。 これを私は注目して読んだ。その事について書く。 ウィキリークスに関するあらゆる報道を見落とす事なく監視して きた私のこだわりを許していただきたい。 しかし、それは単なるこだわりではない。 その事によって様々な事が見えてくるのだ。メディアの本質がわかる。 ウィキリークスを批判する者たちと、それを評価する者たちの違いは、 権力側に立つか、権力を批判する側に立つか、これに尽きる。 そう私は繰り返し書いてきた。 これから書くことは、権力の側についたわが国の2大紙の滑稽なまで の泥仕合である。 朝日新聞は、ウィキリークスからその情報を独占入手するという有利 な立場に立ちながら、その情報を恣意的に活用してきた。 そしてウィキリークスが情報の全面公開に踏み切ったとたん、その 独占的地位を失ったばかりか、ウィキリークスの情報を恣意的に取捨選択 して記事にしたことがばれて、一転して当惑する立場となった。 そしてウィキリークスを批判する立場に転じた。 朝日新聞と並んでウィキリークスについて論評を書いた唯一の新聞で ある読売新聞は、朝日に比べその立場は一貫している。 すなわち、非合法で入手した情報を報道する事に当初より否定的だ。 ただしその情報が一旦公開され、メディアがそれを報じるようになった 時点で、その情報は一定の社会的影響力を持つ、だからそれが報道に値 すると判断されるものに限って報道する、それが読売新聞者の方針だと 書いた。 朝日に独占入手を許したライバル紙の屁理屈だ。 このようにウィキリークスの情報をめぐっては朝日と読売は互いを意識 し合ってきた。 そんな中で見つけた10月1日の読売新聞のウィキリークス特集記事で あった。 そのタイトルも「ウィキリークス25万件の波紋」である。 ウィキリークスが未編集の米外交公電を公開してからはじめて、読売 新聞が自らの立場を明らかにしたのだ。 その評価は当然ながら否定的である。 創設者のアサンジュ氏を他人のコンピューターに侵入し情報を盗む ハッカーの天才と書き、イラクやアフガンに駐留する米軍の情報をウィキ リークスに流した米国のマニング上等兵を、米国政府にスパイ防止法違反 で起訴された犯罪人と呼ぶ。 そしてウィキリークスの情報公開で危険にさらされる人が出たと お決まりの批判を繰り返す。 しかし、読売新聞のこの特集記事に私が注目したのは、そのような ありきたりのウィキリークス批判ではない。 読売新聞のその特集記事の本当の目的は、そんなウィキリークスから情報 を独占的に入手したライバル紙朝日新聞に対する痛烈な批判なのである。 読売新聞は、10月1日の特集記事を長々とウィキリークス批判で埋め 尽くした後に、最後に次のよう朝日新聞に言及してその特集を終えている。 「日本では朝日新聞が今年1月、ウィキリークスから日本関連の米外交 公電6963本の提供を受け、特集記事を組むなど大きく報じてきた。 しかしウィキリークスが25万件以上の公電を無修正で公開すると、9月 22日の朝刊で『保護されるべき情報について配慮されないまま、公電の すべての情報が公開されることには賛同できない』と批判。『あらゆる信頼 できる情報を今後も取材対象とする』とし、『個人の生命、安全に十分に 留意しつつ報道していく』と強調した。 本紙は朝日新聞に対し、ウィキリークスが今後、あらたな機密情報を入手 した場合、公開前に情報提供を受け報道するのか尋ねたが、『紙面で説明 している通り』と回答した。」 これは痛烈な朝日新聞批判である。 独占的に情報を入手し、それをスクープ報道して一時は有利な立場にあった 朝日が、ウィキリークスが未公開情報の公開情報に踏み切ったことにより 当惑する立場に一転した。 それを見て読売は朝日にこうメッセージを送っているのだ。 ウィキリークスの未編集情報の全面公開は米国をさらに怒らせた。 ウィキリークスの情報公開によって犠牲者も出た。 ウィキリークスから情報を独占的に得た朝日はこれをどう見る。 それでも朝日はウィキリークスの情報をスクープし続けるのか、と牽制 しているのである。 所詮は権力側についた御用新聞のつまらぬ争いである。 それを教えてくれただけの価値しかない10月1日の読売新聞のウィキ リークス特集記事であった。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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