□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年9月30日第684号 ■ ============================================================= 沖縄密約控訴審判決をどう評価すべきか ============================================================= 今日のニュースのなかで注目すべきは、やはり沖縄密約文書開示 に関する控訴審の逆転判決だろう。 なにしろ2010年4月に下された東京地裁の一審判決は、不開示 文書の存在の立証責任は原告側にあるという慣例を覆し、沖縄密約の ような秘匿性の高い文書の不存在決定を出す際は、「合理的、かつ十分 な」国側の調査責任を求める画期的な判決(9月30日毎日新聞)で あったからだ。 それが今度の控訴審で覆されたのだ。 このニュースを知った時、私は直感的に、小沢秘書判決を思い浮か べた。 野田政権の誕生以来、急速に強権政治が進んでいる。 低姿勢の野田首相の姿の陰で官僚主導の政策がどんどんと進められ ている。 官僚たちは、鳩山、菅と続いた弱体、反官僚政権から、体制側に立つ 野田安定政権に様変わりした空気を察知している。 その体制に迎合する判決を下すことが保身的であることを、裁判官と いう官僚もまた知っている。 これが、判決が一変する理由である。 おそらく今後も体制側についた判決が増えるだろう。 控訴審逆転判決の第一報を聞いた私の直感はそれであった。 そしてその警戒感は今でも変わらない。 しかし、逆転判決の内容をよく読んで、私はその見方を少し変えた。 よく読むと、この判決は沖縄密約が存在した事を認め、その密約文書 は「通常とは異なり限られた職員しか知らない方法で保管された可能性 が高い。秘密裏に廃棄され、保管から外した可能性を否定できない」と 断じている。 これは、「原告の逆転敗訴となったが、内容は国にとって厳しいもの だった」(9月30日朝日新聞の解説)のだ。 その意味で西山太吉さんらの言う、「大勝利で大敗北」なのである。 問題は「大敗北」のままに終わらせてはいけないということだ。 「大敗北」とは何か。 それは、一審とは逆に、ないものはない、としてそれ以上国の責任を 問わず、廃棄したと思われる幹部の特定を求めることなく、この訴訟 が幕引きされることだ。 官僚と国の「逃げ得」(前掲毎日新聞)を許すことである。 今度の判決についてのメディアの反応は、珍しく、どれも判決に 批判的なものであった。 それだけこの判決はおかしいということだ。 その中でも最も厳しく批判していたのは日経新聞の社説であった。 「・・・何とも国に都合のいい理屈だ。国は『文書はない』という だけで、その理由を説明していない。当然、(国の)調査は限られた 職員とは誰で、(その職員が)どのように管理し、廃棄したのかを突き 止めるものでなくてはならない・・・『ないものはない』では、国民の 財産である公文書が失われた理由にはならず、それをよしとした判決に も納得できない」 今後も問われなければならないのはこの一点である。 それが「大敗北」で終わらせない唯一の道である。 それにしても、と思う。 外務省の山口壮副大臣は、「ないものはないからすみませんという 話だ」と語り、財務省の藤田幸久副大臣は「国側の主張が認められた ものと理解している」と語ったという(9月30日産経)。 外務官僚出身の山口副大臣は平和外交を唱えるリベラル派の議員の 一人だ。 藤田副大臣は9・11の真相究明を求めて米国紙に酷評された気骨 ある政治家だ。 その彼らが副大臣という要職についたとたん、国側に立って弁明に 努める。 世の中、うまく立ちまわれる者たちが生き残れるということか。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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