□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年9月8日第625号 ■ ============================================================= 外交のたて直しは官僚まかせでは出来ない ============================================================= 野田政権の課題の一つは「外交のたて直し」だとどのメディアも馬鹿の 一つ覚えのように言う。 そしてそれは取りも直さず「日米関係の修復」のことである。 しかし日米関係の修復とはなにか。そもそも日米関係は悪化してると いうのか。 日米関係は今も昔も変わらない。 どんな無理な要求でも、日本がそれに従えば日米関係は良好で、従わ なければ悪化する。その繰り返しに過ぎない。 その一方で中国との関係も修復が必要だ。そして中国との関係の悪化こそ 明確な理由があり、その対策が必要なのだ。 言うまでもなく中国との関係が悪化した最大の原因が尖閣諸島沖の中国 漁船領海侵犯事件であった。 なぜこの問題があそこまで深刻なものになったのか。 その本当の理由を知っている国民は果たしてどれだけいるだろう。 9月7日の東京新聞に「日本に外交を取り戻せー野田内閣に直言する」と いう社説が掲載されていた。 この社説に日中関係のたて直しに関する見逃せない記述がある。その要旨 は次の通りだ。 すなわち尖閣問題については「中国は日本の実効支配を黙認するかわりに、 日本も中国のメンツをつぶさないという『暗黙の了解』(外務省高官)があ った。だからあの小泉首相でさえ2004年に中国人活動家が尖閣に強行 上陸した事件では送検せず強制送還にとどめた。 ところが民主党政権は政治主導を強調するあまり外務官僚を遠ざけたこと で、情報が入らなかった。後に前原国土交通相〔当時〕は「日中間にそんな 約束があるなら事前に教えて欲しかった」、とこぼし、岡田外相(当時)は 「(中国がそこまで強硬姿勢をとるとは)当時、誰にも予測できなかった」 と強弁した。 今後は外交官を使いこなし、情報を集め、ともに戦略を練ることだ、と。 この記述は前半部分は正しいが後半部分は間違っている。 前半部分は正確に言えばこうだ。 日中漁業交渉では、尖閣沖での漁業操業と領土問題は切り離し、日本が 領海内で中国漁船の操業を見つけたら、決して逮捕、拘束せず(それをすると 主権問題、領有権問題に直結し政治問題に発展する)、領海外に追放する、 という合意があった。それを知らされていなかった民主党政権が船長を逮捕、 送検したから中国が猛烈な反発を見せたのである。 そもそも領有権にかかわる重要な問題について官僚たちがこのような合意を 国民に知らせずに行なっている事自体が問題であり、その結果尖閣沖領海では 日中双方の漁船が入り混じることが放置されていた。早晩このような不測の 事態が起きことは明らかであったが、その事についてはここでは触れない。 私がここで言いたいことは、社説の後半部分である。 このような重要な密約の存在を知らされないままに間違った判断をさせら れた前原国交相や岡田外相が、なぜ官僚たちに激怒しなかったのか。官僚たち に責任を取らせなかったのか、という点である。 官僚たちに任せてはすべてが失敗する。 だから政治主導が必要なのである。 民主党の失敗は、正しく政治主導ができなかったことだ。 民主党の政治家たちには官僚を凌ぐ能力のある政治家が一人もいない ことだ。 このままでは、官僚を排除しても、官僚に依存しても、どちらに転んでも 民主党の外交はうまくいかない。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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