□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年9月1日第603号 ■ ============================================================= 米国・イスラエルを手玉にとる中国の中東外交 ============================================================= 野田新政権の課題の一つが日米関係の建て直しだと、当然のように語られる。 そしてその最初の外交日程が9月の国連総会への出席であり、その際のオバマ 大統領との会談であると、どの新聞も書きたてる。 振り返ってみれば鳩山首相の時も、菅首相の時も、そうだった。 しかし、日米関係の建て直しとはすなわち米国の要求に従うということである。 日米同盟の深化とはすなわち対米従属のである。そこには外交政策も、戦略も ない。 これと対照的なのが中国の対米外交である。 今度の国連総会の最大の外交課題はパレスチナ国家の承認問題である。米国の 関心もそこにある。 8月30日の各紙は北京発共同の配信を引用し、中国がパレスチナ自治政府の 独立国家建設を支持すると表明したと報じていた。 「(国家建設は)パレスチナ人民の望みであり、世界の安定に有益だ」とまで 述べたという。 これは大きなニュースである。 米国・イスラエルの立場と真っ向から対立するものである。 そう言えば中国は、国連軍のリビア攻撃に関する安保理決議についても留保し、 シリアへの制裁決議に反対している。 だからといって中国は米国の中東政策にことごとく反対しているわけではない。 中国は米国が最重視する「テロとの戦い」については米国と一致する。 米国の中東外交を左右するイスラエルに対しては軍事交流を深めている。 8月16日には中国人民解放軍トップがイスラエルを訪問し、ぺレス大統領や ガンツ参謀総長と会談してパレスチナ問題や対テロ対策について意見交換している。 イランに対して影響力のある中国との関係を、イスラエルも米国も、悪化させた くないのだ。 中国に確固とした中東政策があるとは思えない。 ましてや中国がパレスチナ人の人権に関心を持っているとは思わない。 しかし、中国は知っている。パレスチナ問題が米国外交のアキレス腱であることを。 米国が対テロ戦争で行き詰まっている事を。 そしてイスラエルや米国がが中東民主化の嵐の中で追い込まれつつある事を。 中東外交は、今や中国にとって米国、イスラエルに対する最強の外交カードなの である。 野田新政権はパレスチナ独立承認決議に対して米国に追従するだろう。 さすがに明確な反対は出来ないだろうが棄権することは間違いない。 それが日米同盟の証であり、日米関係建て直しのメッセージである。 しかし、そこまでしても米国は日本を評価しない。 普天間問題の進展がなければ日米関係は立て直せない。 たとえ普天間問題が解決しても更なる米国の要求に応えなければ日米関係に ひびが入る。 一方の中国は、米国が最も重視するパレスチナ独立決議について米国と対立して も米中関係が損なわれることはないと確信している。 今の米国にとって中国との関係を損なう余裕はないと見ているからだ。 言いなりになっても評価されない国と、国益を主張してなおかつ一目おかれる国。 どちらが正しい対米外交を展開しているか。 言うまでもない。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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