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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

ケビン・メア元米国務省日本部長の「決断できない日本」を読んで思う
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年8月28日第599号 ■     =============================================================  ケビン・メア元米国務省日本部長の「決断できない日本」を 読んで思う            =============================================================  ケビン・メア元米国務省日本部長の「決断できない日本」(文春新書) を読んだ。  これは日米同盟を考える者にとっては必読の書である。  もっとも、最初に指摘しておきたい事は、この著書が生まれた経緯で ある。  発売中の週刊SPA!8月30日―9月6日合併特大号の巻頭に連載 されている勝谷誠彦のコラムの中で、勝谷氏が得意げに書いている。  「メア氏と文春をつないだのは実は私である」と。  軽率な勝谷氏だ。自慢のつもりが、とんだ暴露である。  この本はメア氏による反基地左翼に対する攻撃本である。あわせて中国 の脅威に対する日米同盟の重要性を主張する本である。  反中、右翼の言論人である勝谷誠一氏の考えを代弁するような本だ。  いや、代弁どころか、この本のゴーストライターの一人は勝谷氏に違い ない。  そう思って読めばこの本の価値はほとんど失われる。  それにもかかわらず、この本は極めて有益な本である。  米国務省の内部にいた外交官しか知りえない貴重な情報が随所に 出てくる。  たとえば福島原発事故が起きて間もない頃に行なわれた自衛隊ヘリ による空中からの放水だ。  これについては後になって日本の新聞が検証記事を書いていた。  あれは日本政府が米国に対し、原発事故に必死に取り組んでいる姿を 見せるためのパフォーマンスだった、と。その一生懸命さが米国をつなぎ とめた、と報じられた。  ところがメア氏に言わせればとんだお門違いだったと言うのだ。  この放水を見たオバマ大統領をはじめ米国政府関係者は、なんと馬鹿な 事をしているんだ、と絶望的な気分を味わった、というのだ。  たとえばこんなくだりもある。  1985年に起きた御巣鷹山へのJAL墜落事故の直後、米軍は近くの 横田基地からすぐに捜索救助部隊を出発させられると日本政府に伝えたと いう。自衛隊や海上保安庁のヘリでは現場に着陸できないからだ。  しかし、信じられないことに日本政府はこれを断ったという。誰も生き 残っていないと判断していたという。  後になって救出された少女の証言では「暗くなる前にはたくさんの人の声」 が聞かれたというのに、と。  他にも驚くような情報が随所に出てくる。それだけでもこの本は一読する 価値がある。  しかし、私がこの本で最も注目したのは彼の次のような主張である。  すなわち自分は反基地の立場の人たちからは許し難い言動を繰り返す沖縄 の敵の如く思われているが、実は自分は日米安保条約の忠実な実行者に過ぎ ないのだ、と。  間違っているのは、一方において日米安保条約は重要だといいながら、 他方において国民の反発を恐れて日米安保条約を誠実に実施しない、でき ない日本政府・官僚だ、と。  それを許す米国政府だ、と。  彼はこの本でこの事を繰り返し強調している。  そしてそれはその通りなのである。  基地に反対なら安保条約に反対しなければウソだ。  米国の抑止力が重要であると言い、日米安保を重視すると言うのなら、 日米安保条約に定められている義務を誠実に履行しなければならないはずだ。  日米安保条約にも、国民にもいい顔をしようとする日本政府・官僚こそ 欺瞞者だ、自分は彼らの為に悪者役を買って出ているのだ、むしろ感謝される べきだと。  返す刀でメア氏は米国政府をも批判する。  自分の言動は個人的な暴挙や失言ではない。すべて米国政府の了承を得て、 米国政府の方針を実現しようとした結果ではないか、それは米国政府も知っ ているだろう、と。  米国政府はいつまでも日本を甘やかすのか、と。  この本は日米同盟を本気で実現しようとしない日米両政府に対する痛烈な 批判なのである。  だからこそこの本は日米両政府に黙殺されるだろう。  日米両政府に顔を向ける日本のメディアはこの本を宣伝しないに違いない。  メア氏の考えと対極にある私の「さらば日米同盟」と同様に、日米同盟を 正面から論じようとすれば黙殺されるということだ。  日米同盟の欺瞞をつこうとすれば排除されるのである。                                了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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