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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

原発問題を論ずる7月23日の「朝まで生テレビ」を見て思う
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年7月23日第524号 ■     ==============================================================   原発問題を論ずる7月23日の「朝まで生テレビ」を見て思う    ==============================================================  7月23日(午前2時ごろ―5時ごろ)の朝まで生テレビのテーマは 脱原発問題であった。この番組は何らかの方法でぜひ録画を見るように お勧めする。  いつもの政治的なテーマについての不毛な論争と違って、原発、エネル ギー専門家同士の議論は見ごたえがあった。今回ばかりは最初から最後 まで見続けた。  もちろん今回も専門家は脱原発と原発維持の立場の違いで色分けされて おり、その立場の違いからの議論の応酬はあったが、そして原発維持派の なかで一人だけどうしようもない議論を繰り返す専門家がいて番組を貶め ていたが、おおむね真面目で、参考になる議論であった。  それを聞いていて、このメルマガで2点だけ私の思いを述べてみたい。  この2点については「朝まで生テレビ」を見なくても理解できること である。  一つは情報隠しについての驚愕的な証言である。  すなわち立場を超えて専門家が声を大にして、政府・東電・メディアは 一貫して情報を隠し、対応を間違ってきた、と次のように糾弾した。  事故直後からメルトダウンがわかっていた、大変な放射線放出が想定 されることがわかっていた、それは東電から政府に伝わっていた、それに もかかわらず政府は国民に伝えなかった、IAEAへの報告書に伝えた後 も国民にはいまだ正直にそれを認めていない、、MOX使用の第三号機か らはプルトニウム放出があり米紙はそれを伝えていたのに、政府が米国に 頼んでそれを封印した、汚染の実態が国民に正確に知れると大騒ぎになる から放射線測定を官僚があえて認めなかった、メディアも知っていながら 報道しなかった、などなど。  国民がうすうす気づいている事のすべてを、専門家たちが口々に自らの 体験に基づいて証言した。専門家の中には、許容放射線の数値を勝手に引 き上げ、その危険性を説明することなく東電事故作業員に被曝させた政府 は国家犯罪を犯したと断言する専門家もいた。  これら専門家の証言は全国の国民に広く知らしめなければならない。  テレビ朝日はその責任があると思う。  もし被害者から訴訟を起こされれば、そして裁判が「法の支配」を 守るなら、菅・枝野民主党政権は間違いなく罪に問われるだろう。  二つは脱原発の是非を巡る論議についての私の感想である。  そしてこのことが今日のメルマガの本題である。  今回の朝まで生テレビもそうであったが、脱原発論争は、これまでも、 そしてこれからも、もっぱら安全性、経済性とエネルギー需給バランスの 観点から論じられてきたし、論じられていくだろう。  しかしこの観点で論じる限り議論は平行線に終わる。なぜならばお互い が自分に都合のいい数字や論法を繰り返すからである。  脱原発論争は核兵器論争にまで行き着かないと本物にならないのだ。  原発は核の平和利用という側面を強調するために考えられたことからも 明らかなように、核兵器と原発は不可分だ。  だから北朝鮮やイランやサウジアラビアなどが原発を目指すのだ。  原発をつくろうとする国が世界には多数存在するのだ。  そしてそれらの国の原発を止めさせることは誰にもできない。  それはあたかも核兵器を持とうとする国を誰も止めさせる事が出来ない のと同じだ。  そしてこの核兵器の是非論こそ原発論争以上に議論が対立する問題で ある。  原発以上になくすことの難しい問題なのである。  しかし核兵器ほど非人間的な武器はない。  いくら核兵器が安全保障政策上有効で必要な武器であるとしても、人間 がそれを人間に使うことは許されない。  核兵器に反対する事なく原発だけに反対しても片手落ちなのである。  その視点が一番欠けているのが菅首相である。  朝まで生テレビに出演していたイタリア人ジャーナリストが言っていた。  核兵器の犠牲になった唯一の被曝国である日本国民が、かくも簡単に 原発立国になってしまった事が本当に理解できない、と。  この言葉こそわが国の脱原発論議の不毛さを見事に言い当てている。                                 了

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