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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

「天木直人メルマガ」10.5.18.発行第175号 韓国哨戒艦沈没事件の調査報告書発表は何のためか
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□■□■  【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■    天木直人のメールマガジン 2010年5月18日発行 第175号 ■          ─────────────────────────────            韓国哨戒艦沈没事件の調査報告書発表は何のためか      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  連日報道されている韓国哨戒艦沈没事件であるが、その調査報告書が20日にも発表されるという。  18日の産経新聞などは、調査団が北朝鮮による魚雷攻撃以外にありえないとの結論を出したという 17日付の韓国各紙の報道を大きく報じている。  このような報道ばかりに目を奪われていると本当の事はわからない。  表面的な報道でも、少し考えれば重要なポイントが見えてくる。  たとえばこの調査は誰が行っているのか、ということである。  どの報道をみても、合同調査団とか、軍民調査団とか国際軍民合同調査団などという言葉がバラバラに 使われているが、その調査団が何時、どういう経緯で出来たのか、そのメンバー国はどういう国か、 という事が一切触れられていない。  私が目にした報道のなかで一番具体的に言及していたのは5月16日の日経新聞である。そこには こう書かれていた。  「3月末の韓国軍哨戒艦の沈没をめぐり、(韓国)軍と民間専門家に米英などが加わった合同調査団は、 20日をメドに調査結果を発表する・・・」  これから明らかなように、これは国連安保理決議に基づく国連調査団ではなく、いわゆる有志連合に よる調査団である。しかも韓国と英米を中心とした有志連合である。  この種の安全保障問題に関する深刻な国際事件では、国連の安保理決議に基づく国連調査団が行う事が 本来の姿であるにもかかわらず、それが結成されない。  そのような有志連合による調査結果については必ず異論が出る。  現に5月18日の朝日新聞の報道では、中国が先般の金正日主席の訪中の際、北朝鮮は無関係だと 中国側に伝えていた事を明らかにしたと報じている。北朝鮮の犯行との見方を強める韓国側に中国が 冷静な対応を呼びかけたと報じている。  もちろん北朝鮮はやっていないと言うに決まっているし、中国が北朝鮮を擁護することも決まっている。 北朝鮮や中国が正しいと私は言うつもりはない。  要するに国際的に一致した見方はなされないという事である。  二つ目に、そうであるからこそ、どのような調査報告書が発表されようとも、その後の展開が決して 軍事的な報復につながることなく、政治的な駆け引きの応酬にとどまらざるを得ないということである。  その結果何が起きるか。  決して戦争は起きないが、政治的な緊張が高まる。これである。  私は戦争が起きたほうが言いと言っているのではない。もはや主要国の間では全面戦争は起きない、 起こせないのだ。双方の受ける被害は大きすぎる。  そのかわりに軍事的緊張が、あたかも景気循環のように、強まったり緩和されたりする。  我々善良な国民は、軍事的対立がなくなり、平和な環境ができればそれが一番いいと考える。だから皆が それに向かって外交を進めていると考える。  しかしこの世の中には、軍事的緊張の存在が都合がいいと考える国や勢力があるのだ。  今回の韓国哨戒艦の沈没事件が陰謀だというつもりはない。  事故か、あるいはおろかな北朝鮮が作為をもって行った攻撃だったのかも知れない。  私が言いたい事は、その事件に対応する主要軍事覇権国家の対応である。  彼らの思惑によって国際政治が動かされていくという事である。  そのような権力者(つまり政治家、官僚、軍人、安全保障関係者)などの思惑に事に惑わされることなく、 我々一般市民は常に正しい解決、すなわち平和的な解決に向かって、権力者の動きを監視していかなければ ならない、ということである。  いかなる理由があっても東アジアは分裂させられてはならない。その事によって一番優位な立場に立つのは 米国であると知らねばならない。  韓国哨戒艦沈没事件の調査報告書発表とその後に続く動きは、安全保障の問題というよりも安全保障問題 を使った国際政治上の駆け引きなのである。                                                      _______                      天木直人のメールマガジン 2010年5月18発行 第175号

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