□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年5月16日発行 第173号 ■ ───────────────────────────── クリントン米国務長官の訪日と普天間問題 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 5月16日の各紙は一斉にクリントン米国務長官の訪日を報じている。 そのなかで東京新聞だけがはっきりと「複数の日米関係筋が14日、明らかにした」、と書いている。 これは日米実務者協議をかさねてきた外務官僚たちからの意図的リークに基づいて書かれているという ことだ。 急に実現したクリントン国務長官の訪日にどういう意味があるのか。 各紙が同様に書いていることは普天間問題の5月末までの決着に向けて米側との最終的協議をするという。 その協議を経て5月末に最終方針を閣議決定するという。 これが鳩山政権の今となってはの希望的シナリオである。 これに関連して、読売新聞だけがさらに詳しく書いている。 普天間問題の政府方針に対し米側の理解を得るために、5月末までに外相会談と防衛相会談を個別に行うと。 外相会談はクリントン訪日時に行い、防衛相会談については、北沢防衛相が「ワシントンに行き、ゲイツ 国防長官と最終的な詰めをしなければならない」と長野市内で15日語った、と。 こう書けば鳩山政権の周到な戦略のように聞こえる。 しかし日経新聞はこう書いている。 「クリントン米国務長官が21日ごろに日本を訪問する方向で日程調整を始めた最大の理由は、 (クリントン米国務長官が)中韓両国を訪れるにもかかわらず日本に寄らないと日本素通りとの見方を招き、 日米のあつれきを助長すると懸念したためだ」、と。 つまりクリントン長官の目的は、韓国の哨戒艦沈没事件を受けた北朝鮮の対応を話し合う米中戦略対話 出席が目的である。その途中に当事国の韓国に寄る。日本には頼まれたから立ち寄って義理を果たす、という事だ。 さらに日経新聞は日米関係筋の話として次のようにも書いている。 「普天間問題については鳩山首相が5月末決着を断念した事もあり、米オバマ政権としては(日本側と) 突っ込んだ話し合いまでは期待していない」、と。 その一方で5月16日の朝日新聞は別のところで「普天間 米、現行案譲らず」という見出しで、鳩山政権が 思いつきで打ち出した「くい打ち桟橋方式」について、先にワシントンで行われた実務者協議で否定的な見解を 示していたことが明らかにしている。 これらの報道を見るとクリントン国務長官の訪日時に普天間問題で何が行われるのか。 それは日米協議を5月以降も続けて行こうということで日米が合意したという発表が行われるという事である。 米国にとっては結論先送りは何の痛痒も感じることはない。それどころか鳩山政権の延命に手を差し伸べて貸し をつくることができる。 鳩山政権はもはや結論先送りしかない。なにしろ鳩山腹案では住民、社民党、米国の三者の合意とりつけは 不可能だからだ。 社民党も連立離脱せずに参院選まで滑り込める。グアム移転だけを唱えていれば良い。 その結果何が残るか。沖縄、徳之島住民の怒りと不安と分裂だけである。 なによりも引き伸ばしを頼んで米国に貸しをつくった分だけ、自民党政権時代よりもより対米従属的になる ということだ。 その事は、実務者という下っ端官僚に、これほど重要な日米交渉を任せきりにしている鳩山政権の閣僚の米国との パイプのなさを見ても明らかである。 対米外交に限って言えば、鳩山連立民主党政権は日本にとって不幸な事である。 _______ 天木直人のメールマガジン 2010年5月16発行 第173号

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