□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年5月3日発行 第155号 ■ ───────────────────────────── 憲法改正論議を考える際に忘れてはならない視点 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 憲法の日に決まって各紙が特集する改憲論議。それらに目を通しながら、改憲論議で忘れては ならない視点を順不同で思いつくままに述べてみる。読者の意見はどうだろうか。 1。一口で憲法改正といっても改正点は多くある。私の関心はあくまでも憲法9条である。 憲法9条改正とその他の改正をひとくくりにして論じてはいけない。それぞれの条文には それぞれの問題がある。まとめて論議し、他の改正と抱き合わせで憲法9条改正が変えられる ような事であってはならない。 2。私は憲法9条を一字一句変えてはならないと主張する一人だ。それは平和憲法を守るという観点 からだけでそう言っているのではない。 今の憲法9条には米国に翻弄され続けてきた歴史が凝縮されている。米国の圧力に屈し、踏みにじられ ようとしながら頑張ってきた憲法9条の姿がある。そこが重要なのだ。たとえ一字でも変えてしまえば、 それはまったく別の憲法9条となってしまう。憲法9条は単なる字句の問題ではない。米国の日本占領史 とともに後世に保存していかなければならないものだ。 3。憲法9条が変えられてはすべておしまいだ。その意味で憲法9条を変えさせない事は決定的に重要 である。しかし、それは必要条件ではあっても十分条件ではない。憲法9条が変えられなくても日米同盟の 実態が憲法9条を否定しまっては何もならない。本当に憲法9条を守りたいと思うのなら、日米同盟を 正面から否定しないと嘘だ。 4。きょう(5月3日)の毎日新聞の社説はこう書いている。 ・・・憲法と日米安保を車の両輪として「国のかたち」を形成してきた。両者は理念として矛盾する ようだが、「軍事」の部分を安保条約が補完することで憲法9条が維持されたともいえる・・・ 実は同様の考えは日米安保改定50周年にあたる1月19日の朝日の社説にも述べられていた。すなわち、 ・・・「9条も安保も」という基本的な枠組みは、国際的にも有用であり続けるだろう・・・と。 このような考えこそ憲法9条をもっともないがしろにする巧妙で危険な考えである。国民がこの意見に 惑わされてしまったら憲法9条はおしまいである。 5。5月3日の各紙に各党の談話が載っていた。そのなかで日米同盟を否定しているのは日本共産党だけ である。すなわち、日米安保条約をなくし、核も基地もない平和・独立の日本を築くため全力を尽くす、と。 素晴らし主張だ。これこそが憲法9条の精神を体現すものである。しかし日本共産党だけがそう唱えても、 一般国民にひろがらない。ここが問題なのだ。 6。村山社会党や福島社民党のように護憲を叫びながら日米同盟は重要だなどと唱える事が一番悪い。 まさしく日米同盟論者の思う壺だ。私が社民党を激しく批判する理由がそこにある。 7。憲法9条が近い将来変えられる事はない。9条改正に反対する世論はきょうの朝日新聞でも67%に上る。 それに米国も日本政府もいまさら9条を変える緊急な必要性はない。9条を変えなくても日米同盟でどんどんと 好き勝手な事ができる。 改憲を唱える者たちはそうすることで自己主張しているだけである。それはあたかも護憲ばかりを叫ぶ ことと表裏一体である。 7。本当に憲法9条を守りたければ、憲法9条改正に反対することで事足れり、というのではなく、日米軍事 同盟からの決別を実現しなければならないのだ。 その事を一人でも多くの一般国民に知らせるために「さらば日米同盟」を世に出そうしている。 _________ 天木直人のメールマガジン 2010年5月3日発行 第155号

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