□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年4月21日発行 第130号 ■ ───────────────────────────── 体験者の言葉には誰も勝てない ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1954年、太平洋のビキニ環礁で米国の水爆実験に遭遇したマグロ漁船、第五福竜丸。 その甲板員として生き残った一人である大石又七さん(76歳)の言葉が、4月18日の朝日新聞 「核なき世界へ」という囲み記事に載っていた。 東京でクリーニング店を営みながら被爆証言を続けているという。 その大石さんが、オバマ大統領が「核なき世界」をめざすと世界に宣言した、その後の一年間を率直に 語っている。 なんとも、じれったい。自国は最後まで核兵器を持ち続けるという姿勢を崩していない。ロシアとの 核軍縮条約も、世界の核の9割を持つ両国が、経済的に現状維持できなくなった利害の一致を、格好の よい表現で包んだだけに見える。地球を何度も死滅させるだけの核が残るのに、オバマ氏を手放しで もてはやすのはいかにも軽薄だ・・・ そう語る大石さんの次の言葉に、誰も勝てない。 「クリーニング屋のおやじが何を、と言われるかもしれない。おれも二十歳のあの体験がなければ ムキにならない」 もう一つ。4月19日の毎日新聞に、普天間基地の徳之島移転に反対する集会に参加した政野富夫さん (81)の言葉があった。 政野さんは米軍に撃沈された疎開船「武州丸」の遺族会会長でもあるという。 「武州丸」は1944年、島の子供や女性、お年寄りらを乗せ、鹿児島の南海上を航行中に米潜水艦の 魚雷を受け沈没。島民148人が犠牲になった。 政野さんは母、兄、妹の三人を失った。 「(戦後生まれの)鳩山首相は戦争を知らないから、沖縄や徳之島で暮らす人間の苦しみを考えない のではないか」。 そう言って牧野さんは、移設反対への気持ちと政権への不信感を募らせて会場を後にした。 この二人だけではない。 戦争や被爆体験をした者の言葉は重い。誰も反駁はできない。 そんな戦争体験者がいなくなる日がやがてくる。 その時こそ、戦争を体験していない者たちの責任が問われる。戦争を体験した者たちの反戦の思いを永遠に 引き継いでいく責任の事である。 戦争を体験していなくても、戦争を体験した者以上に、強い気持ちを持って平和のために発言し、行動を 起こせるか。 戦争を知らない者たちが日本を埋めつくす時、その時こそ日本の真価が問われる。 _________ 天木直人のメールマガジン 2010年4月21日発行 第130号

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