□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年4月2日発行 第99号 ■ ───────────────────────────── トム・ハンクスの作った映画「ザ・パシフィック」の功罪 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 4月2日の産経新聞一面に古森義久編集特別委員の「あめりか ノート」という論説がある。 その中で興味ある情報を見つけたので読者に提供したい。 トム・ハンクスが最近「ザ・パシフィック(太平洋)」という映画を製作したという。あの著名 なスティーブン・スピルバーグ監督も共同制作者となっているという。 数冊の米軍将兵の回顧録をもとに、3人の海兵隊が主人公の映画であるらしい。 この作品は3月14日から映画チャネルHBOテレビで週一回、10回連続のミニシリーズで 放映が始まったというから、これからメディアで取り上げられ、その反響や評価が論じられていく に違いない。 問題はその内容と政策意図と反響だ。 内容は米国側の視点で描いた太平洋戦争に関するドキュメンタリー・フィクションである。 推測はできるがやはり見てみるしかない。 問題はハリウッドを代表する民主党リベラル派二人がなぜそのような映画をつくったか、その意図 である。 その一端を示すトム・ハンクスの言葉を古森氏が紹介していた。 3月中旬にホワイトハウスで試写会を催した時、それを掲載するタイム誌のインタビューに答えた際の 発言だったという。 「・・・彼らはわれわれを生活方式が異なるという理由で殺そうとした。我々もまた彼らが自分たちと 異なるという理由で殲滅しようとした。こんな実態は現在、進行中の(戦争の)状況にもあてはまる のではないか・・・」 この言葉を古森氏は次のように解説している。 「米国と日本が戦争をした原因は両国民の人種偏見だったというのだ。そして米側の人種偏見はいまの アフガニスタンでの対テロ戦争でも、イラクの民主化の戦いでも、同じ要因になっていると主張する のである。もちろんハンクス氏自身はそんな偏見を非難する立場をとる」 つまり戦争批判の映画であり、とくに米国の「テロとの戦い」を批判する意図であるという。おそらく そうなのだろう。 当然のことながら米国内での保守派や中道派側からの反発は迅速で激しいものがあった、と古森氏は 書いている。 その反発は映画の放映が進むにつれてさらに高まっていくに違いない。なにしろ米国人の多くは、 米国の戦うあらゆる戦争は敵から米国を守る正しいものだと信じているからである。 そのうえ米国人は人種差別主義者であると批判される事をもっとも嫌い、怒る。 その一方でこの映画では、米兵の日本人に対する差別振りを強調するために、ジャップという蔑称が 頻発されているという。 ハンクス自身もインタビューの中で「われわれは日本人を異端の神を信じる黄色の、目のつりあがった イヌたちだとみなした」と言ったらしい。 そうなると今度は日本人の観客も反発するだろう。 ぜひともこの映画を見なければならない。 正しい評価はその後でするほかはないが、私が思うこの映画の功罪はこうだ。 反戦を訴えるものであればそれを評価する。戦争の根底に人種間の不信・差別があるのも事実だろう。 しかし人種差別を使って反戦を訴えるのは得策ではない。不要な議論を巻き起こすからだ。 反戦はストレートに行うのがよい。いかなる戦争も認められない、人間性の否定だ、と単純、明快に 否定すればいいのだ。 古森氏のこの論説を興味深く読み進んで行って、その最後に私は思わず笑ってしまった。 この論説は次の言葉で締めくくられていた。 「(この)映画がいまの日米同盟に負の影響を及ぼさない事を願うところだ・・・」 なんの事はない。古森氏の書く事はつまるところすべて日米同盟万歳に行き着くということだ。 _________ 天木直人のメールマガジン 2010年4月2日発行 第99号 お知らせ 3月5日に収録された植草一秀さんとの対談がFM福岡で放映されています。 鳩山政権の評価が微妙に食い違っているところが注目点です。本当はもっと違うのですが そこは私らしくなくオブラートに包みました。 興味ある方は以下のサイトを参照してください。 http://www.768.jp/ondemand/list/vod.php?vod_id=163

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