□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年3月23日発行 第84号 ■ ───────────────────────────── ケネディの遺言と普天間基地問題 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 米国がイラク攻撃を始めたのが7年前の3月20日であった。またその日が やってきた。 日本国民は中東の事などほとんど関心がないから、もはやイラク戦争も、それを 世界に先駆けて支持したわが国の小泉首相の事も、すっかり忘れているかのようだ。 そんな日本で、「今こそイラク戦争の検証を」、などと叫んでみても、大きなうねり になろうはずがない。 それでも、やはりあの戦争とそれを支持した小泉政権の検証は必要だと思う。 小泉の「イラク戦争支持」を問う そういう見出しに誘われて週刊金曜日3月5日号を買い求めて読んでみた。 その検証は見事だ。 日本にイラク戦争とそれを支持した小泉政権の対米従属政策を検証したものが存在するか どうかは知らないが、たとえあったとしてもこの週刊金曜日の右に出るものはないと思う。 しかし、週刊金曜日3月5日号の価値は、イラク戦争の検証記事だけではない。 そこに私は、思わぬ宝物を見つけた。 成澤宗男氏の手になる「いま蘇るケネディの『遺言』」という記事だ。 私は知らなかった。ケネディ大統領がここまで戦争に反対していたという事を。 ケネディと言えば、ベトナム戦争への軍事援助を拡大した張本人だとばかり思っていた。 ベトナム戦争への米国の関与は、もともとアイゼンハワー大統領が少数の「軍事顧問団」を 南ベトナムに派遣したことからはじまった。 それが、ケネディ大統領の軍事援助拡大によって、米国はベトナム戦争にのめり込んで行く。 そのケネディ大統領が、キューバ危機を契機に、核戦争もいとわない米国軍部とその戦争政策に、 抑えがたい嫌悪感を抱くようになったという。 それを象徴したのが1963年6月のアメリカン大学での演説であったという。 この演説を私は知らなかった。 その演説の締めくくりの次の一節は感動的だ。 「・・・合州国は、もう戦争はしない。戦争は望まないし、考えもしない。私たちの世代は、 充分すぎるほど戦争と憎悪、抑圧を経験したのだ。戦争を止めるため、速やかに行動に移そう ではないか・・・」 そう演説したケネディ大統領は、2年以内にベトナムからの全軍撤退を命じた。 しかしその直後の暗殺ですべてが水泡に帰す。 ケネディ亡き後、ベトナム戦争に徹底して反対したのがキング牧師だった。 1967年4月、キング牧師はニューヨークで、「ベトナムを超えて 沈黙を破るべき時」と 題した演説を行ったという。 そこでキング牧師は、米国が世界中に戦争という名の「暴力」を撒き散らしている現実を 「狂気」と呼び、 「この狂気こそ、終わりにせねばならない。止めなくてはならないのだ」と訴えたという。 しかしそのキング牧師もまもなく暗殺される。ケネディ暗殺から5年後の事だ。 こう考えていくと、どうしても思わざるを得ない。 米国の「狂気」を正そうとすることは命がけの事であると。 日本の指導者たちが日米同盟から離れられない理由もそこにあるに違いない。 小泉はもとより、鳩山も小沢も、メディアも、右翼も、米国には逆らえない理由がある。 しかしその米国が恐れるものがある。 それは日本国民の覚醒である。米国から自立せよという国民意識の高まりである。 情報操作というものがあるとすれば、「日米同盟は日本のためにならない」、という真実を、 決して日本国民にわからせてはいけないというメディア工作ではないか。 蔭では話すけれどそれをメディアで公然と唱える者が一人も出てこない理由がそこにある。 今、米国が日本に対して戦っているのは、米国から自立すべきだと思い始めつつある日本国民 なのかも知れない。 そう考えると、今度の普天間基地移設問題の帰趨は、とても重要な事のように思えてくる。 _________ 天木直人のメールマガジン 2010年3月23日発行 第84号

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