□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年3月12日発行 第72号 ■ ───────────────────────────── 三井環元大阪高検公安部長が言いたかった事 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発売中の月刊誌宝島の4月号に三井環元大阪高検公安部長の検察批判の手記が掲載されている。 私はこれに注目した。 物事の本質を見抜けない者がこれを読むと、小沢・鳩山民主党つぶしに失敗した検察官僚批判 と受け止めるだろう。 しかし決してそうではない。 三井氏は検察の裏金を告発しようとして不当な仕打ちを受けた。その無念さは想像に難くない。 しかしこの手記における検察批判は、そのような私怨からくる単純な検察批判ではない。 小沢幹事長や鳩山首相のカネの問題を最後まで追及できなかった検察の不甲斐なさを批判して いるのだ。 巨悪に立ち向かうという本来の使命を、保身のためにかなぐり捨てた検察を叱咤しているのだ。 三井氏は繰り返し言う。裏金に手を染めた検察が、その弱みを政治家に握られた故に、ある時から 検察はすっかりおかしくなってしまった。時の権力者にまったく弱くなってしまった。これは 国民にとって不幸な事だ、検察組織の再生のためには、裏金問題を潔く清算し、一から出直すしか ない、と言っているのである。 この手記の中に物凄い事が書かれている箇所がある。それを私は見落とさなかった。 04年に日歯連闇献金事件と言うのがあった。 自民党が日本歯科医師会から1億円の小切手を 受け取ったにも関わらず、それを収支報告書に記載せず闇献金にしたとして、政治資金規正法違反 に問われた事件だ。 あの時、小切手を受け取った橋本首相や、野中自民党幹事長、青木自民党参院幹事長らは不問に され、関係のない村岡謙造橋本派会長代理一人が責任を負わされて終わった。 三井氏はその時の裏話を次のように語っている。 逮捕される一月ほど前の04年3月末、「検察の裏金問題について話が聞きたい」と野中幹事長 から呼び出され、京都の都ホテルで一対一で1時間ぐらい裏金の実態について野中氏に話したという。 その時、野中氏は「この問題をどうにかしないといけないな」と語ったという。 ところが、その翌月の4月22日に三井氏は逮捕される。 三井氏は、あくまでも推測だが、と断りつつ、自分は利用されただけではないのかと、こう 振り返っている。 もし野中氏が私から聞いた裏金の話を一言持ち出せば、検察は簡単に萎縮する。日歯連事件で 野中氏らに捜査が及ばなかった理由に裏金問題が関係していると今でも確信している、と。 三井氏は、同時にまたこの手記で、小沢不起訴の背景には裏金を持ち出されて震え上がった 検察の姿が目に浮かぶ、と言いたかったに違いない。 なるほど合点がいく。 原口総務大臣が裏金はすべて明らかにすると言ったのは、決して本気で検察の裏金を追及する つもりではなかったのだ。それは検察への脅しなのだ。 実行すれば文字通りガチンコ勝負である。小沢側が検察組織を解体することを意味する。 しかしそれは出来ない。返り血を浴びる。そんな馬鹿な事をするよりも、脅しをちらつかせる事で 検察を支配したほうが得なのである。 おりしも、北海道教職員組合の政治資金規正法違反が表面化した。 3月12日の毎日新聞は輿石参院議員会長が自宅敷地を農地の違法転用により使用している事を 報じている。 いずれも報じられている事が事実ならば明らかな違法行為だ。 鳩山首相の母親からの巨額な資金提供もそうだが、我々一般国民がそのような違法行為をおかそう ものなら、検察、国税は容赦ないだろう。それに対して我々は一切の弁護はできない。 しかし権力者の違法疑惑は、いずれもトカゲの尻尾きりで終わる。 かつては自民党政治家が権力者だった。今は民主党政治家が権力者だ。 政権交代が起ころうが検察官僚と時の権力者の関係の本質変わらない。 検察は決して民主党政権の不祥事を最後まで追及することはないだろう。 その一方で、検察の裏金を告発した三井氏の名誉回復は決してなされない。 なぜならば民主党政権にとっては検察と喧嘩してまで三井氏の名誉を回復しても一銭の得にも ならないからだ。 検察組織の越権、不正、腐敗は常に監視、糾弾しなくてはならない。 しかし、その視点はあくまでも弱者の利益、人権を守るというものでなくてはならない。 権力者同士が取引をして「法の支配」をないがしろにする、そんな不正義だけは許しては ならないのだ。 三井環氏が手記で言いたかった事は、まさしくこの事であると私は思っている。 _________ 天木直人のメールマガジン 2010年3月12日発行 第72号

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