□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年3月4日発行 第64号 ■ ───────────────────────────── 統幕学校の卒業式出席を拒否された田母神前航空幕僚長の事件に思う ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 田母神氏の事を記事にするのは産経新聞ぐらいだ。いまさら田母神氏でもあるまい。 しかし、この記事は鳩山民主党政権と自衛隊組織の関係を考えさせられるので書いてみる。 3月4日の産経新聞が、田母神前航空幕僚長が自衛隊統合幕僚学校の卒業式に招待されて いながら、直前になって防衛省の圧力で拒否された、という記事を掲載していた。 産経新聞がその記事で言いたかったことは、田母神氏の次の言葉で代弁されている。 「人権弾圧みたいな嫌がらせだ。自民党政権時代より露骨になっている」 勘違いも甚だしい。 田母神氏は民主党から忌避されているのではない。自民党も含め、日本の支配体制から 忌避されているのだ。 田母神氏の核保有発言や東京裁判否定などの戦後レジームの見直し発言は米国を怒らせる。 一私人になった田母神氏の発言を封じることは出来なくても、日本政府がそれを容認する ような態度を取ると、ただでさえもろい日米関係が更に悪化する。 だから対米従属の自民党、官僚、御用学者、財界などおよそあらゆる日本の支配者層は 田母神氏の言動を支持しないのだ。相手にしたくないのだ。 民主党政権が自民党政権よりも田母神氏に厳しいなどというのは大きな勘違いだ。 しかし、私がここで言いたいのはその事ではない。 防衛省も知らないところで、ましてや鳩山政権がまったく知らされないところで、自衛隊組織 から田母神氏に卒業式出席の招待状が出されていたという事実だ。 「トラストミー」という鳩山首相の言葉を批判した一佐の暴言があったばかりだ。制服組の謀反 なのか。その危険性は完全には排除できない。そうだとしたら由々しい事だ。 しかし、そんな大げさなものではないと私は思っている。 産経新聞の記事をよく読めば、渡辺隆統幕学校長(陸将)が直前になってあわてて電話で田母神氏に 「出席を見合わせてほしい」と伝えたという。統幕学校総務課は「経緯はわからない」と当惑している。 おそらく担当官レベルが、歴代の統幕学校長は卒業式に招待されるという慣例を踏襲し、上司にも 相談せず田母神氏に招待状を出してしまったのではないか。田母神氏は航空幕僚長になる前の平成 14年から2年間統幕学校長を務めている。 それを防衛省や自衛隊幹部が知ってあわてて出席辞退を迫ったのではないか。 それに怒った田母神氏がパトロンの産経新聞にネタを垂れ込んで書かせたのではないか。 いずれにしてもこの産経新聞の記事でわかったことは防衛省と自衛隊組織の連絡の悪さであり、 自衛隊組織の規律の緩みである。 なによりも鳩山首相と防衛省・自衛隊組織の関係の希薄さである。 総理は自衛隊組織の最高司令官である。この産経新聞の記事を重視し、みずから事の真相を早急に 調べて毅然として善処すべきである。 憲法9条遵守義務を自衛隊に徹底し、専守防衛の自衛隊であることを防衛省、自衛隊に今一度自覚させる べきである。 優柔不断で無責任のままでは、本当に自衛隊になめられてしまう。そうなったらおしまいだ。 _________ 天木直人のメールマガジン 2010年3月4日発行 第64号

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